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地域医療構想策定プロセス案を厚労省が提示―幅広い関係者の意見聴取する仕組みの整備を

2014.11.21.(金)

 病床機能の分化・強化をはじめとする医療提供体制改革に向けて、都道府県は原則として2015年度に「地域医療構想(地域医療ビジョン)」を策定しなければなりません。

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 この「地域医療構想」は医療計画の一部を構成するもので、都道府県内の医療機関から報告される病床機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)や、高齢化の進展などを加味した医療需要などを基に「地域の医療提供体制の将来あるべき姿」を具体的に示すものです。

 もっとも、「地域医療構想」の策定は新たな試みであることから、国が策定に向けたガイドラインをあらかじめ示す必要があります。そこで厚生労働省は、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」を設置し、ガイドラインの内容や、地域医療構想策定のプロセスなどを議論しているのです。

 11月21日に開かれた検討会では、(1)地域医療構想を策定するプロセス(2)策定した地域医療構想の達成推進のための「協議の場」の設置・運営方針―の2点が議題でした。

 ここでは、(1)の地域医療構想を策定するプロセスについて少し詳しくお伝えします。

厚労省が医療計画策定プロセス案、事前に都道府県は体制整備を

 前述の通り地域医療構想も医療計画の一部なので、「医療計画の策定・変更の手続き」を経る必要があります。

 また、今年6月に成立した医療介護総合確保推進法(改正医療法)や、それを受けた総合確保方針の中では、地域医療構想の策定に当たっては「市町村介護保険事業計画や、都道府県介護保険事業支援計画との整合性を確保する」「保険者協議会の意見を聴取する」ことなどが規定されました。

 さらに、検討会では「(地域医療構想の達成を推進するための)『協議の場』の設置を前倒しし、地域医療構想策定段階から関係者が協議すべき」(中川俊男構成員・日本医師会副会長)といった意見なども出されています。

 こうした状況を踏まえて、厚労省は次のような地域医療構想策定プロセス案を提示しました。もっとも、これは「全都道府県に共通する参考」手順に過ぎず、地域の実情に応じた柔軟な取り組みが可能です。

(1)作成準備段階

 ここでは、体制を整備する(例えば都道府県医療審議会の下に専門部会やワーキンググループなどを設置する)ことが重要になります。

(2)地域医療構想(案)の作成段階

 地域医療構想(案)の策定に向けて、「地域の医療提供体制の目指すべき姿」「病床機能報告制度の報告などによる地域医療の現状分析」「人口構造の変化の見通しその他の医療需要の動向と医療従事者、医療提供施設の配置状況の見直し」「構想区域の設定」「構想区域ごとの25年の医療需要と、在宅医療を含めた各医療機能の病床の必要量の推計」「地域医療構想実現のための施策」などを、(1)で整備した「都道府県医療審議会の下に設けた専門部会やワーキンググループ」などで検討します。

 また、都道府県の境界周辺地域では患者の流出入が多くなることも予想されますので、医療需要の実情に照らして必要だと認められる場合には、関係都道府県と連絡調整を行うことが求められます。

 さらに、前述した「協議の場」や、二次医療圏ごとに関係者が具体的な連携を協議する場「圏域連携会議」を活用して、医療関係者の意見を作成段階から反映させることも期待されています。これは前述した中川委員の意見を踏まえたもので、厚労省医政局地域医療計画課の北波孝課長は、「作成段階から地域医療構想を達成するまで、『協議の場』が連続することになるのではないか」と見通しています。

 このほか、患者・住民の意見を反映させるための「タウンミーティングやヒアリング、アンケート調査」の実施、診療・調剤に関する学術経験者の団体(地域の医師会など)からの意見聴取、在宅医療の課題や目指すべき姿についての市町村からの意見聴取などを行うことも考えられます。

(3)地域医療構想(案)の作成後

 (2)で地域医療構想(案)を作成した後には、都道府県医療審議会、市町村、保険者協議会の意見を聞いた上で、都道府県医療審議会へ諮問し、答申を受けることになります。その際、住民の意見を改めて聴取するためにパブリックコメントなどを実施することも重要です。

(4)地域医療構想の決定

 都道府県は、決定した地域医療構想を厚生労働大臣に提出し、公示する必要があります。さらに、住民に周知するために県報やホームページへの掲載なども考えられます。

構想案策定する医療審の下部組織、実質的な審議の担保を

 厚労省の提示した地域医療構想策定のプロセス案に対して、構成員からは次のような意見こそ出されましたが、概ね好意的に受け止めらました。これらの意見を考慮し、15年1月に「取りまとめ案」が厚労省から示される見込みです。

●住民・患者の意見を聴取するためのヒアリングなどを会議で実施すると萎縮してしまう。個別に意見を聴取する仕組みが必要ではないか(山口育子構成員・NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)

●認知症対策は地域の医療提供体制にとって重要なテーマだ。地域医療構想の作成段階から、精神科医療のバックグラウンドを持った専門家を参加させる必要がある(櫻木章司構成員・日本精神科病院協会政策委員会委員長)

●都道府県医療審議会の下に設ける専門部会などが形式に終わってはいけない。実質的な検討を行っているのかを監督する何らかの仕掛けが必要ではないか。また、これまで一部の人間だけが独占していたデータについて、地域医療構想の作成時点で公開し、共有できるようにすべきだろう(相澤孝夫構成員・日本病院会副会長)

 このように、地域医療構想の策定に当たっては医療の専門家や保険者はもちろん、医療を受ける患者・住民や保険者の意見も反映されることになります。そのため、例えば病床必要量の推計を行う際には、専門的な計算式にとどまらず、医療に詳しくない人にも理解できるような形でのデータ提示や解説などが不可欠になってきます。

 地域医師会や都道府県などは、これまで以上に「分かりやすい情報提供」に力を入れる必要がありそうです。