2013年版ICD-10対応、移行期の新基準記載は病院か厚労省か、現場の負荷調査を経て判断へ
2016.9.13.(火)
診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会が12日開かれ、DPC対象病院を中心に、医療機関が記載するDPCコード分類が新基準に移行する「2013年版ICD-10対応」などについて議論されました(資料はこちら」)。
新基準への移行期に、旧基準と新基準の両方式でコードを記載しなければならない問題について、最初の半年間を厚生労働省が、残りの1年間を各病院が新基準でコードを記載する案が、厚労省から示されました。これについて、「病院側の負荷の程度が分からないと判断できない」「残りの期間についても厚労省でやることはできないのか」などの意見があり、次回以降、詳細な負荷調査を実施し、今後の判断材料にする方針が固まりました。
2013年版マスター、17年1月頃に整備へ
国内の疾病、傷害および死因の統計分類は、「ICD-10」に準拠し、統計調査や病院の診療録管理などに用いられています。これが関連の総務省告示により、公的統計の表示には、16年1月から2013年版ICD-10が適用されることになりました。一方、診断群分類区分への適用は、2013年版に対応した標準病名マスターが未整備のため、傷病名は現行の2003年版に準拠することになっています。それが今般、17年1月頃に2013年版マスターが整備される見通しとなったため、その対応方針をどうすべきかが課題になっています。
厚労省はまず、本格的な2013年版ICD-10対応は18年度改定での移行が妥当とする一方、改定で使用するデータを2013年版に基づいて各病院がコーディングする必要性があると指摘。その上で、(1)16年10月から17年3月までのデータは厚労省の「DPC調査事務局」で新基準のコーディングを行い、特別調査で各病院に確認を求める(2)17年4月から18年3月までは各病院が新基準と旧基準の両方でコーディングを行う―とする対応案を示しました。
これについて伏見清秀委員(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境社会医歯学講座医療政策情報学分野教授)は、「病院側の負荷が大きいと予想されるので、厚労省が引き続き変換することはできないのか」と質問。石川広己委員(千葉県勤労者医療協会理事長)も「病院側の具体的な作業を示すべき」などと指摘しました。厚労省は新旧基準の変換が必要となる項目は、数万あるDPCコード項目のうち235項目とわずかであるとするものの、項目によっては患者数が多く、作業負荷が大きい可能性もあるため、次回以降にさらに詳細な作業負荷のデータを調査して示すとしました。
病院情報の公表、10月1日以降も限定的に考慮
16年度診療報酬改定で、機能評価係数IIの保険診療指数の新たな項目として「病院情報の公表」が追加されました(関連記事『2017年度から保険診療指数で評価されるDPCの「病院情報の公表」、厚労省が詳細を明らかに』)。10月1日時点で「年齢階級別退院患者数」など7項目からなる病院情報が公表されているか否かを確認し、評価する内容ですが、公表時期について川瀬弘一委員(聖マリアンナ医科大学小児外科教授)が「対応期間が短くて厳しいという病院もある」と指摘。厚労省は10月1日時点での公表が原則とした上で、例えば公表の準備は9月末までに整っているものの、院内決裁に時間がかかったりするなどやむを得ない理由で10月1日公表が間に合わない場合に限り、期日を過ぎての公表についても、個別対応を検討するとしています。
地域医療指数の定例報告案を了承
また、毎年10月1日における地域医療指数の評価項目への参加や指定などの状況、施設基準の届出状況などを報告する定例報告の案が示され、了承されました。案は(1)地域医療指数関連(2)病院情報の公表―の大きく2つ。地域医療指数関連については、以下の図表の通り16年度診療報酬改定の内容を反映させた報告とすることに加えて、地域がん登録の件数の実績および新型インフルエンザ等対策にかかる地方公共機関の指定については、報告を求めないことにしました。病院情報の公表については、公表の有無について報告することとなります。
「病院情報の公表」など3項目は早期に個別議論
18年度診療報酬改定に向けた今後の検討方針とスケジュールについては、16年10月から17年3月までを今後のDPC制度の基本的な考え方を整理する時間に充て、4月から個別課題の検討を開始。12月をメドに中央社会保険医療協議会へ中間報告する流れです(図表2、3、4)。
ただ、病院情報の公表や2013年版ICD-10対応、CCPマトリックスなどの論点については、対応を急ぐ必要があるため、17年4月を待たずに個別議論を進めていく方針です。