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増収対策と看護必要度データで自治体病院が勉強会、DoCoMとToCoM

2016.11.30.(水)

 北海道の自治体病院が参加するベンチマーク勉強会「北海道地区自治体病院コンソーシアム(DoCoM)」の第9回会合が11月11日、砂川市立病院(北海道砂川市)で開催されました。25日には「東海地区自治体病院コンソーシアム(ToCoM)」の第22回会合が愛知県名古屋市内で開催されています。

 DoCoMでは増収対策などを、ToCoMでは重症度、医療・看護必要度をテーマに情報共有するとともにディスカッションしました。

砂川の増収対策プロジェクト

 DoCoMは北海道の自治体病院15病院が参加。講演は砂川市立病院における取組報告として、「当院における『増収』と『医療の質向上』を目標とする各種取り組みについて」と題して、医事課の小柳貴敬医事課長補佐が講演。続いてGHCから「2025年に向けて北海道の元気な地域医療機関であり続けるために」と題して、マネジャーの塚越篤子が講演しました。

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 小柳氏は、同院の取り組みとして「Z-projecct」を軸に解説。これは増収の「ぞ」と「後はない」という決意を込めて命名された増収対策プロジェクトです。院長自らがプロジェクトリーダーを務め、「退院時リハビリワーキンググループ」など複数のワーキンググループを立ち上げて、それぞれの問題点を探り、その改善策の積み重ねで増収を図るとともに、医療の質を向上していくという取り組みです。同プロジェクトは各ワーキンググループの成果の積み重ねで、2015年度で前年比5900万円の増収効果。2015年度の病院全体としての増収額は、入院外来併せて7億円でした。

 その他、医事課の病棟カンファレンス参加や院長による医師へのDPCコーディング勉強会などユニークな取り組みなども共有されました。

「収益横ばいコスト増時代」の対策とは

 塚越は日本の医療の潮流や急性期病院に求められていることなどについて解説した上で、今後はデータで評価される時代が到来し、その前触れとして16年10月から始まった病院指標の重要性などについて強調しました。また、医療費抑制の潮流から、多くの病院が収益横ばい、コスト増の傾向にあることから、安定的な収益確保を目指した取り組みの重要性も繰り返し解説しました。

 具体的には、安定的な収益確保を目指して、包括項目におけるベンチマーク分析の重要性を指摘。例えば、短期滞在手術の実名公開ベンチマーク分析を紹介し、データによる見える化と立ち位置の確認による改善の検討を説明しました。また、係数項目においては重症度、医療・看護必要度対策を取り上げ、データ精度向上から病床戦略までの手順について解説しました。最後に、出来高項目として手術単価、加算算定項目、医療材料のベンチマーク分析の重要性についても確認しました。

大垣市民の看護必要度向上プロジェクト

 ToCoMは東海地方の自治体病院が22病院参加。講演は「医療・看護必要度向上プロジェクト、大垣市民病院における一例」と題して大垣市民病院看護部の尾石仁志副看護部長が担当しました。その上で、「医療・看護必要度について」をテーマにグループディスカッションを行いました。

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 講演で尾石氏は、自病院の看護必要度向上へ向けての取り組みを紹介。対策開始の2016年7月から直近の11月までの4か月で、重症患者割合を5.7ポイント向上させることに成功しています。実施した対策は、(1)体制作り、(2)必要度ラウンド、(3)入力と確認、(4)一致率の向上―の大きく4つの取り組みです。

 体制作りでは院長を含めた多職種連携のメンバーを選出。その上で、関連研修を院内全体に向けて実施しました。必要度ラウンドでは、医師、薬剤師、理学療法士など職種ごとに実施。例えば、医師ならクリニカルパスを確認し、クリニカルパスに積極的ではない診療科の医師への指導などを行いました。入力と確認では、看護必要度の評価入力規約を見直し。勉強会なども実施した上で、「入力は病棟看護師が行う」「C項目は手術、内視鏡、放射線が記録および入力をする」などの新基準を設けました。最後に一致率の向上では、電子カルテで医事請求と必要度の一致率を表示させるようにし、それぞれの確認フローを詳細に定めるなどの取り組みをしました。

 グループディスカッションでは、共通テーマは看護必要度ですが、グループごとに「過小・過剰評価防止対策、多職種との連携について」「Hファイル作成時のチェック、レセプトデータとの突合について」「必要度向上について注意すること(平均在院日数、診療密度、病床稼働等)」「必要度低下を防ぐため、地域医療機関との連携でできること」などそれぞれ議論。グループごとに議論の結果について発表しました。

解説を担当したコンサルタント 塚越 篤子(つかごし・あつこ)

tsukagoshi 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門マネジャー。
テンプル大学教養学部経済学科卒業。経営学修士(MBA)。看護師・助産師として10年以上の臨床経験、医療連携室責任者を経て、入社。医療の標準化効率化支援、看護部活性化、病床管理、医療連携、退院調整などを得意とする。済生会福岡総合病院(事例紹介はこちら)、砂川市立病院など多数の医療機関のコンサルティングを行う。新聞の取材対応や雑誌への寄稿など多数(「隔月刊 地域連携 入退院支援」の掲載報告はこちら)。
解説を担当したコンサルタント 冨吉 則行(とみよし・のりゆき)

tomiyoshi 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門マネジャー。
早稲田大学社会科学部卒業。日系製薬会社を経て、入社。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。金沢赤十字病院(事例紹介はこちら)、愛媛県立中央病院など多数の医療機関のコンサルティングを行う(関連記事「病院が変化の先頭に立つために今できるたった3つのこと」)。