組織横断チームで医療の価値を上げるコスト削減を!-今年初の病院ダッシュボード体験会を開催
2015.1.19.(月)
院内の既存データを使って自病院の診療機能を把握したり、他病院と比較したりできる次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」の操作体験会が16日、東京・新宿のGHCオフィスで開催されました。今回は「組織横断的な取り組みによる『価値を上げるコスト削減』」をテーマに、GHCマネジャーの井口隼人が講演しました。
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病院には、既に幹部会議や医療安全推進委員会、院内感染対策委員会といったさまざまな組織横断型の会議・委員会があると思います。しかし、その多くは「権限と目標があいまいである」「役職優先のメンバー構成となっている」といった状況ではないでしょうか。
この点、井口は、GHCが推奨する組織横断型プロジェクトチーム(PT)の特徴として、▽目的が明確である▽明確な目標や期限を設定▽院長直轄で一定の権限を持つ▽能力優先のメンバー構成-といった点を強調します。PTの権限が明確なため、活動によって「自分たちで経営改善を実現できた」という成功体験を共有でき、各部門の意識改革が可能となり、これが組織を活性化し、さらなる経営改善を生むという好循環サイクルを回すことが可能です。
今回テーマとなった「コスト削減」は、「生産活動をせずに利益を生み出すことができる」活動です。成果が目に見えるため、ほかのPTの見本という位置付けも可能です。
一口にコスト削減と言ってもさまざまな取り組みがありますが、井口は「医療の価値」を上げるコスト削減でなければ無意味なだけでなく、時には有害にさえなると指摘します。
医療の価値(Value)は、「医療の質(Quality)」を「コスト(Cost)」で割ることで求められます。「医療の質」は▽アウトカム▽安全▽サービス▽収益-などの指標で評価でき、コストには▽金銭的コスト▽時間的コスト▽人的コスト-などが含まれます。つまり、コスト削減の取り組みは、こうした指標を「見える化」するためにも非常に重要なのです。
コスト削減の取り組みは次の7つに分類でき、病院が行うべきなのは「医療の価値」を上げるA、B、C(維持するDも含めて)になります。
さらに井口は、GHCが支援したA病院によるコスト削減の事例を紹介しました。
A病院では、院長直轄のPTを12年4月に立ち上げ、次の3点を目的に業務を推進しました。
(1)「収益向上」「コスト削減」「業務改善」の3つの軸で経営改善を生み出す(金額・質の両側面)
(2)改善活動の成功体験を得る(チームワークの醸成)
(3)コスト意識を根付かせる(改善風土の醸成)
PTは、具体的な業務を、次のような流れで実行しました。
●取組候補項目をリストアップ(必ず100項目以上存在する)
↓
●優先順位の高い項目から「誰が」「どのように」「いつまでに」実行するかを決定る
↓
●実行にあたっては、新たな課題が発見される可能性もあり、その場合には1つ前の工程にもどって、項目を再度洗い出し
↓
●実行後に成果を検証・共有し(これを院内全体の改善風土へ発展させる)、次なる取組み項目を選定
井口は、「自分たちでコスト削減できた」という成功体験を院内で共有できるため、組織横断型コスト削減プロジェクトには「院内の活動のスピードが向上する」「経営に関心を持ってくれない医師を含め、病院全体を巻き込んだ取り組みが可能になる」という、副次的ながら非常に重要なメリットがある点を強調しています。
この日は病院ダッシュボードの操作体験会も行われ、GHCが用意したパソコンを使って具体的な操作方法を学びました。GHCで病院ダッシュボードの営業を担当している田中慶太は、仮想データを使って操作方法を説明して、「目的をもって病院ダッシュボードを活用していただければ、入院から外来、チーム医療に至るまでさまざまな分析が可能になる」などと強調しました。
病院ダッシュボードは、▽DPCデータ▽財務データ▽外来レセプトデータ▽手術データといった、院内に「既にあるデータ」を基に、GHCのコンサルティングノウハウをウェブで配信するサービスです。
自病院の状況はもちろん、他病院とのベンチマーク分析を行うことで、早急な改善を要する点をピックアップしたり、「改善の方向性」をクリアカットに把握したりすることが可能です。
詳細なサービス内容は以下のサイトから確認できます。また、動画で開発の背景や製品概要を紹介しております。ぜひご覧ください。