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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

客観的データ基に在院日数短縮と重症患者の集約化を-GHC病院ダッシュボードユーザー会

2014.12.15.(月)

 院内の既存データを使って自病院の診療機能を把握したり、他病院と比較したりできる次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のユーザー会が15日、東京・新宿のGHCオフィスで開催されました。

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 今回は「2025年を乗り切るために」をテーマに、GHCマネジャーの井口隼人が講演しました。

GHCマネジャーの井口隼人

GHCマネジャーの井口隼人

 “2025年問題”とは、「いわゆる団塊の世代の全員が後期高齢者に差し掛かり医療・介護など社会保障費が国家財政を強く圧迫する」というもので、14年の流行語大賞にもノミネートされました。医療費・介護費の伸びを抑えつつ質の高いサービスを提供するために、政府の社会保障制度改革国民会議は、2025年型のモデルとして「必要なときに、適切な医療を、適切な場所で、最小の費用で受けることができる」体制の構築を提唱しています。

 この2025年型モデルでは病院・病棟の機能分化と連携が重要な視点となり、急性期病床には「急性期らしい高重症度・高診療密度」が求められます。具体的には「在院日数の短縮」と「重症患者の集約」の2点が重要だと井口は強調しました。

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 ところで厚生労働省は、医療資源の投入量を基に高度急性期と急性期の機能を区分する方針を打ち出しています(地域医療構想策定ガイドラインに関する検討会)。井口は「医療資源投入量を基にするこの考え方は、実は12年12月、既に日本病院会の相澤孝夫副会長がGHCとの共同研究をベースに『病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会』に提出している」としました。

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 急性期病床の代表格である7対1の病床を、厚労省は当初2万―3万床の整備する考えでしたが、現在はこの想定を大幅に上回る36万床に達しています。このため、厚労省は「平均在院日数」(18日以内)や重症患者の受け入れ割合(15%以上)といった基準を厳格化し、病床数の適正化を図っています。

 こうした中で7対1の算定を維持していくためには、このように厳格化された基準を引き続きクリアする必要があります。特に14年度診療報酬改定で大きく見直された「重症度、医療・看護必要度」については、DPCデータとマッチングさせることで「正確な値で各病棟の状態を把握する」「病棟編成のシミュレーションを行う」ことが必要となります。

 例えば、同じ7対1の病棟でも、重症患者の受け入れ割合は病棟ごとに異なっています。そのため、全病棟で「15%以上」の基準をクリアするためには「病棟の疾患構成を再編する」必要があるのです。井口は、ある病院で腎臓内科・糖尿病科に入院する2型糖尿病患者と、循環器内科に入院する心不全・狭心症患者をそれぞれ転棟させたケースを、疾患構成の再編の実例として紹介しました。ただし、再編にあたっては「病棟のマンパワーなどを踏まえる必要がある」「医師の移動が多くなるため、臨床現場と話し合う必要がある」「看護師のスキルを確認する必要がある」などと付言しています。

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 また平均在院日数の短縮に関しては、病院ダッシュボードの機能を用いて「どの疾患の在院日数を短縮させるのが効果的か」をシミュレーションした上でパスを改善することが重要だと井口は強調しました。

地域包括ケア病棟の導入、客観的な重症度等把握を

 ますます厳しくなる基準をクリアするのが難しい場合は、7対1の一部を「地域包括ケア病棟」に移行させるなど、機能分化を図っていくことが必要となります。地域包括ケア病棟入院料は14年度診療報酬改定で新設された特定入院料ですが、現場では「地域包括ケア病棟をそもそも導入すべきか」「地域包括ケア病棟を導入するとして、何床程度が妥当なのか」といった疑問があるようです。

 地域包括ケア病棟に転棟すべき患者としては重症度・単価ともに低い疾患が挙げられますが、井口は「重症度・単価を客観的データに基づいて把握し、一定のルールの下で転棟させることで、最適なケースミックスを達成し、収入の確保を図ることできる」と強調しました。

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 さらに井口は、急性期病院が今すぐ取り組むべき項目として、(1)単価の低い外来患者を地域の診療所などへ逆紹介させ、医師や看護師といった医療資源を入院や専門外来に集中させる(2)メディカルスタッフに各種加算算定の重要性を説き、生産性を向上させる(3)手術室の稼働率を向上し、効率的な運用を図る-ことを挙げます。

 病院の内部環境や外部環境を評価するために病院ダッシュボードは極めて有用なツールですが、院長の指示によって立ち上げられた分析チームが各診療科からヒアリングを行う際、病院ダッシュボードとEVEを活用しこうした評価を客観的にすぐ、行えるようになったケースもあります。井口は「院内業務の中で病院ダッシュボードの使用を仕組み化することが重要」と強調しています。

 最後に井口は、P.F.ドラッガーの「変化はコントロールできない。できるのは変化の先頭に立つことだけである」という名言を引用し、「先手を打った病院こそが、急性期病院として洗練されていく」と締めくくりました。

目的を持って病院ダッシュボードの活用を

 この日は病院ダッシュボードの操作体験会も行われ、実際にパソコンを使って具体的な操作方法を学びました。GHCの田中慶太・アナリストと尾原俊一・セールスマネジャーは、デモデータを使って操作方法を説明して、「目的をもって病院ダッシュボードを活用していただければ、入院から外来、チーム医療に至るまでさまざまな分析が可能になる」などと強調しました。

GHCセールスマネジャーの尾原俊一

GHCセールスマネジャーの尾原俊一

GHCアナリストの田中慶太

GHCアナリストの田中慶太

 病院ダッシュボードの詳細は、以下のPRサイトからも確認できますのでぜひ、ご覧ください。

◆病院ダッシュボードPRサイト

 また、病院ダッシュボードの開発背景や製品概要をYouTubeチャンネルの動画でもご覧ください。

◆病院ダッシュボード関連動画

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