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高度急性期など4機能、資源投入量で線引きへ-厚労省提案、機能ごとのニーズをまず集計

2014.10.31.(金)

 医療提供体制の再編に向けて国が定める「地域医療構想の策定ガイドライン」の具体化を話し合う検討会が31日開かれ、厚生労働省は、「高度急性期」や「急性期」など4つの医療機能を、医療資源の投入量によって線引きする案を示しました。

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医療構想ガイドライン検討会

医療構想ガイドライン検討会

 会合を開いたのは、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」です。厚労省案への明確な反対意見はありませんでした。同省では、入院の医療ニーズを1日当たりの入院患者数としています。これは性別・年齢階級別の人口に「入院受療率」を掛けた値で、患者の状態や診療の実態を明らかにするため、ナショナルデータベースやDPCデータを使って分析します。

 地域医療構想(地域医療ビジョン)の策定ガイドラインは国が年度内に策定することになっていて、検討会では年明けには骨格を固める見通しです。今後は、あと4回程度の会合を開く予定で、医療ニーズの集計結果を基に機能ごとに必要な病床数などを詰めます。

 厚労省案では、医療ニーズは高度急性期と急性期のほか「回復期」「慢性期」の4つの機能ごとに計算するとしています。このほか、疾病や領域ごとの状況を明らかにするため、DPCの「主要診断群18分類」などの医療ニーズも推計します。早ければ11月下旬の会合に提示し、その後は、医療ニーズの季節変動などを踏まえて、各機能の病床がどれだけ必要か、地域ごとに割り出したい考えです。

 厚労省がこの日の会合で提示したDPCデータの集計結果によりますと、肺がんや急性心筋梗塞などの患者への医療資源投入量は入院直後から下がり始めて、やがて安定する傾向ですが、急性白血病などでは比較的長期間、高いまま推移しています。

 また、医療資源の投入が落ち着いた後も入院を継続するケースもあり、今後はどのような病床で医療資源の投入量が多いかや、入院してからどこまでの段階を高度急性期や急性期とみなすかなどが焦点になります。

 同省は、医療資源の投入が安定してから退院までを回復期や慢性期とする考えも示しました。それによりますと、脳血管疾患や大腿骨頸部骨折など回復期のリハビリテーションが必要な人を回復期のニーズとみなし、これら以外にどのような患者をカバーすべきかを検討します。一方、筋ジストロフィーなど難病の患者は慢性期の医療ニーズとして集計し、回復期との境界の引き方を今後、詰めます。在宅医療に関しては、団塊世代の全員が75歳以上になる25年のニーズを推計します。

 民主党政権だった2011年に政府・与党が取りまとめた「社会保障・税一体改革成案」では、高度急性期など医療機能ごとの病床数や人員体制を平均在院日数を基に推計していました。これに対して、DPCデータやNDBを活用すると、医療資源の投入量が入院中にどう変化しているのかや、入院患者に提供した医療の具体的な内容を把握できるので、これを指標にして医療機能を線引きする方向です。

高度急性期は三次医療圏ごとに

 31日の会合では高度急性期をカバーする病院について、すべての「構想区域」に整備する必要はないという意見があり、厚労省は会合終了後、こうした考えに前向きな姿勢を示しました。現在の三次医療圏ごとに整備する方針です。

 構想区域は先の通常国会で成立した改正医療法に盛り込まれた概念で、病床の機能分化を進める上での地域の単位になります。同省では、現在の二次医療圏を原則とする方針を示しています。