地域包括ケア病棟、経営効率改善とスタッフの意識改革を推進―GHC分析に日経新聞も注目
2015.2.2.(月)
GHCが取材協力した「地域包括ケア病棟」関連の記事が、1月29日付の日本経済新聞(夕刊)に掲載されました。日経新聞は病院の現場の声も取材し、「地域包括ケア病棟の導入によって、病院の経営効率改善とスタッフの意識改革が促された」と指摘しています。
【1月29日付の日本経済新聞(夕刊)11面】
◆「地域包括ケア病棟」じわり増加 回復期患者に受け皿
病院経営効率改善にも寄与
◆導入は1割、中小病院が中心
地域包括ケア病棟は、急性期病院を退院した患者や、体調を崩した在宅患者の受け皿として2014年度診療報酬改定で設けられた診療報酬上の病棟区分です。重症患者の受け入れ割合などの基準が7対1入院基本料に比べて緩やかなため、「これから一層算定しにくくなる7対1からの移行先」の1つとして期待されています。病棟単位で届け出る「地域包括ケア病棟入院料」と、病床単位での「地域包括ケア入院医療管理料」があります(図表参照)。
「急性期病床が過剰」とされるわが国の医療提供体制を最適化する施策の一つとして、GHCも注目しています。これらの点数ができた14年4月以降、全国の医療機関による届け出状況をほぼ毎月ウォッチし、調査結果とコンサルタントによる分析結果をレポートしてきました(関連記事『地域包括ケア、一般病棟から病床単位での移行が60%と最多』)。
日経新聞では、GHCによる調査結果で明らかになった「全国の病院の1割強が地域包括ケア病棟を導入」という点を重視。この病棟を導入した東京医科大学茨城医療センター(茨城県阿見町)、堀川病院(京都市上京区)の事例研究を取り上げて、「地域包括ケア病棟の導入により、病床稼働率が上昇。さらに病院スタッフの意識改革が進み、在院日数の短縮にもつながっている」と指摘しています。
GHCの調査では、従来の「亜急性期入院医療管理料」(亜急管)が廃止され、7対1入院基本料の算定要件が厳格化された直後の14年10月には、単月で369件とそれまでに比べて大幅に届け出が増えました(関連記事『地域包括ケア病棟862病院が届け出、全病院の1割強に―「亜急管」廃止後ハイペースに』)。その後は増加ペースを落としていますが、GHCアソシエイトマネジャーの湯原淳平は、「次の山は病床再編の区切りとなる4月(年度初め)」と予想しています。
また、日経新聞は、脳神経センター太田記念病院(広島県福山市)の大田泰正理事長のコメントを引用し、今後の見通しとして、「導入に消極的な病院は次の診療報酬改定(2016年4月)までは7対1病床にこだわるだろうが、その先は転換せざるを得なくなるはずだ」とも指摘しています。
日経新聞でも紹介されたように、地域包括ケア病棟の動向は引き続き注目トレンドの一つです。GHCはこれからもウォッチしていきます。