先天性ミオパチーや筋ジストロフィーなど41疾病、7月から指定難病へ―厚労省検討会
2015.2.5.(木)
医療費助成の対象となる難病(指定難病)の範囲が夏から大幅に拡大されます。厚生労働省は4日、厚生科学審議会疾病対策部会の指定難病検討委員会に、拡大の有力候補の第1弾として「先天性ミオパチー」や「筋ジストロフィー」など41疾病を提示しました。
検討委員会では新たに助成対象となる約200疾病を2月中に固め、7月にも医療費助成が開始されるもようです。
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医療介護総合確保推進法に基づき、医療費助成対象となる難病は大幅に拡大されます。この1月からは110疾病への助成が既に始まっており、早ければ7月には、さらに約200疾病が追加されます。
厚労省は、助成対象の候補となる610あまりの疾病を提示。この日は、その中から▽神経・筋疾病▽難治性てんかん―である41の疾病をピックアップして検討に付されました。先天的な骨格筋の構造異常によって筋力・筋緊張の低下や呼吸障害、関節拘縮などを起こす「先天性ミオパチー」、骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性疾患の「筋ジストロフィー」、中枢神経系の髄鞘形成不全によって大脳白質が十分に構築されず眼振・痙性四肢麻痺・小脳失調などの症状を呈する「先天性大脳白質形成不全症」、極めて難治かつ頻回の焦点発作が特徴の「難治頻回部分発作重積型急性脳炎」などが含まれています。
41疾病は、下記のような新たな助成対象の要件を満たしており、検討委員会では「概ね助成対象に含めてよいのではないか」と判断されました。今後のパブリックコメントなどを経て、正式に医療費助成対象となる見込みです。
新たな助成対象の要件は次の6つで、これらに該当する疾病の患者のうち重症度が高く、日常生活・社会生活に支障があるとされる人に医療費の助成が行われます。
(1)発症の機構が明らかでない
(2)治療法が確立していない
(3)希少な疾病である
(4)長期の療養が必要である
(5)患者が国内で一定の人数に達しない(人口の0.1%程度以下)
(6)客観的な診断基準か、それに準じる専門家の共通認識がある
検討委員会では次回以降も個別疾病の検討を進め、新たに医療費助成対象となる難病200疾病が2月中にも固められます。
なお、検討対象となる610余りの疾病は下図の通りですが、例えば273番の心筋梗塞のように小児では極めてまれで重症度も高いが、成人では珍しくない疾病も含まれています。これらは上記の要件を満たしていないと考えられ、医療費助成の対象となる難病には該当しないと推測されます。