高度急性期は3000点、急性期は600点、回復期は225点以上と厚労省が提案-地域医療構想GL検討会(速報)
2015.2.13.(金)
厚生労働省は12日、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」で高度急性期、急性期、回復期の境界についての数値の基準を提案しました。高度急性期と急性期の境界は1人1日当たり3000点、急性期と回復期の境界は同じく600点、回復期と慢性期・在宅医療等の境界は同じく225点としています。いずれも入院基本料は除外されます。委員からは、この数値に目立った異論は出ず、この数値に基づいて必要病床数を推計することになりそうです。
厚労省は、2月26日に予定している次回の会合で、ガイドライン(報告書)を取りまとめたい考えです。ここでは、注目される機能ごとの境界に関する定量基準について速報としてお届けします。
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地域医療構想の策定は、2次医療圏をベースとした地域(構想区域)で病床機能の分化と連携を進め、良質で効率的な医療提供体制に再編することが目的です。そのため都道府県には、構想区域ごとに、▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期・在宅医療等-の病床数目標値を設定し、実際のベッド数を目標値に近づけていくための取り組みを進めることが期待されています。
各機能の病床数推計は、次の3段階で行われます。
(1)「2025年度」における機能ごとの患者数を推計する(医療需要)
(2)(1)の医療需要を「2025年度」に予想される病床稼働率で割り戻して必要病床数を推計する
(1)については、▽高度急性期から回復期では医療資源投入量▽慢性期・在宅医療等では地域の入院受療率-をベースに、医療需要(患者数)を推計する方向が固まっています。この日の検討会では、厚労省医政局の北波孝・地域医療計画課長から「最終的に固まっていはいない」との留保付きで、次のような数字が口頭で示されました。
▽高度急性期と急性期の境界(いわゆるC1)は1人1日当たり3000点
▽急性期と回復期の境界(C2)は1人1日当たり600点
▽回復期と慢性期・在宅医療等の境界(C3)は1人1日当たり225点
人員配置などの影響を除外するために、いずれも「入院基本料」は除かれます。ICUやHCUについても、特定入院料から「入院基本料相当」が除外されます。
さらに同省は、例えば心不全患者で、「非侵襲的人工呼吸器による呼吸補助を行い、肺動脈圧測定カテーテルや心エコー、血液検査、レントゲン等で綿密な評価を行いながら、利尿剤等による治療を実施している状態。まもなく呼吸器から離脱出来そうで、検査や評価の頻度も下げていけそう」な状態を、高度急性期から急性期へ移るタイミング(C1)だといった例示もしています。
北波課長は「ICUから一般床へ移るように、ある機能から別の機能へ移る際には、患者さんに転棟していただく」姿を想定していると説明しています。
(2)は、(1)で推計された患者数を「2025年度」に予想される病床稼働率で割り戻して算出します。その際の数値基準について北波課長は次のように設定してはどうかと提案しました。
▽高度急性期:75%
▽急性期:78%
▽回復期:90%
▽慢性期:92%
この数値については、中川俊男委員(日本医師会副会長)や西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)から「高度急性期から回復期の稼働率が高過ぎる。平均在院日数が短縮化されるので、もっと低く見積もるべきではないか」との指摘がありました。なお、中川委員は「慢性期ではもう少し高い稼働率を設定してもよい」と付言しています。
この点、北波課長は「病床削減を意図したものではない。あくまで医療需要に対して、どの程度、病床数が必要となるかを推計したものである。経営的にも余剰な、稼働しない病床を抱えていることはマイナスなのではないか」と会合終了後にコメントしています。
なお、慢性期・在宅医療等の医療需要推計にあたっては、▽一般病床の障害者・難病患者▽療養病床入院患者の70%▽在宅医療を受けている人▽一般病床で1人1日当たり225点(C3)以下の入院患者-の合計とする考え方も示されています。