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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

医療実調、毎年の借入金返済額などからキャッシュフローを把握-中医協総会

2015.3.4.(水)

 2016年度の診療報酬改定の参考資料を得るために、第20回医療経済実態調査が実施されます。今回の調査では「借入金の返済で医療機関経営は厳しい」という診療側委員の指摘を踏まえ、「キャッシュフロー」も調べられます。ただし、「キャッシュフロー計算書」を作成している病院はそう多くはないことから、計算書を作成していない病院では「借入れによる収入」と「借入金の返済による支出」からキャッシュフローの状況を簡易に把握することになり、4日に開かれた中央社会保険医療協議会総会で了承されました。近く、調査票が発送されます。

病院における「借入金の返済」状況などを新たに把握

 医療経済実態調査には「医療機関等調査」と「保険者調査」があり、どちらも診療報酬改定の参考資料となります。現在の医療機関等調査では、改定を挟んだ2事業年(度)の経営状況をアンケート方式で調べます。主に、医療機関の「機能や体制」と「損益」「資産・負債」を調べ、改定論議の参考資料となります。

 16年度改定に向けた調査では、新たに▽自治体病院に新会計基準が導入されたことを踏まえ、集計を工夫する▽病院を対象として営業活動・投資活動・財務活動のそれぞれによるキャッシュフローや期末残高などを集計する-こととなりました。

 後者の「キャッシュフロー」は、いわば「得られた収入から、外部への支出を差し引き、手元にどれだけの現金があるのか」を把握するものです。中医協では、診療側委員から「借入金の返済で経営は厳しい」との意見がしばしば出ることから、その状況を調べることになったものです。

 キャッシュフロー計算書を作成している病院では、▽業務活動によるキャッシュフロー▽投資活動によるキャッシュフロー▽財務活動(借入やその返済)によるキャッシュフロー▽現金などの増加額-などを調べます。

 一方、キャッシュフロー計算書を作成していない病院では、「借入れによる収入」と「借入金の返済による支出」を長期借入と短期借入について、それぞれ調べます。

 当初は、公益代表の松原由美子委員(明治安田生活総合研究所主席研究員)から「回収率を考慮し、できるだけ簡易な方法として『借入金の返済がきちんとできているか』を把握すればよいのではないか」との提案がありましたが、支払側の石山惠司委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会部会長代理)より「事業体がどれだけ借入れできるかも重要な指標である」との指摘があったことを踏まえ、「借入れによる収入」と「返済による支出」の双方を調べることになったものです。

2016年度診療報酬改定に向けて、医療経済実態調査の中で「キャッシュフローも把握」。キャッシュフロー計算書のない病院では「借入れによる収入」も記入することに。

2016年度診療報酬改定に向けて、医療経済実態調査の中で「キャッシュフローも把握」。キャッシュフロー計算書のない病院では「借入れによる収入」も記入することに。

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新医療技術の保険収載、提案者や評価者の負担を軽減

 また、総会では「16年度改定に向けた医療技術の評価・再評価」に係る評価方法も了承されました。

 診療報酬改定では、新たな医療技術の保険収載も行われます。保険収載にはさまざまなルートがありますが「学会からの提案を、中医協の医療技術評価分科会で科学的視点に基づいて評価し、それをベースに中医協総会で決定する」のが一般的です。

新たな医療技術を保険収載する際の、「学会からの提案→医療技術評価分科会での医学的評価→中医協総会での総合的判断」という一般的なルート

新たな医療技術を保険収載する際の、「学会からの提案→医療技術評価分科会での医学的評価→中医協総会での総合的判断」という一般的なルート

 ただし、このルートには、▽提案書の記載・提出方法が煩雑である▽提案書の記載が不十分である-などの問題があり、提案する学会側、評価する分科会委員側の双方の負担が重くなっています。これを軽減するために「提案書は電子媒体のみの提出とする」などの見直しが行われます。

 なお、このほかに「先進医療技術Aのうち、保険収載が妥当と先進医療会議が判断したものを中医協に報告し、そこで検討する」というルートもありますが、今回、先進医療技術Aの保険収載に向けて、学会が独自に医療技術評価分科会に提案できる」というルートも設けられました。運用の詳細は今後検討されます。

 学会の提案は6月中旬まで受け付けられ、その後、有効性や安全性などが順次評価されていきます。

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国立国際医療研究センターが、先進医療特例対象を辞退

 ところで、2月18日の中医協総会では、「国家戦略特区における保険外併用療養の特例」の対象病院として4施設が報告されました。しかし、国立国際医療研究センターが「人員体制の整備などが難しい」として辞退したため、対象病院は次の3施設となっています。

(1)がん研究会有明病院

(2)順天堂大学医学部附属順天堂医院

(3)東京医科歯科大学医学部附属病院

 対象病院では、先進医療の申請から承認までの期間が3か月程度に短縮されます。

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 なお、総会では次の臨床検査を4月1日から保険収載することも了承されました。

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