特定機能病院は95.6%の病床を高度急性期と報告―病床機能報告の速報値(第3報)
2015.3.19.(木)
厚生労働省が18日に公表した「病床機能報告制度における機能別病床数の報告状況」の速報値(第3報)によりますと、全国の医療機関から報告があった高度急性期の病床数は昨年7月1日現在、19万1180床で全体の15.5%を占めました。急性期は58万1179床(47.1%)、回復期は10万9617床(8.9%)、慢性期は35万1953床(28.5%)となっています。
また特定機能病院では病床の95.6%を、DPC病院では、I群が病床の94.3%を、Ⅱ群が病床の75.9%を高度急性期と報告していることも明らかになりました。
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病床機能報告制度の速報値は、昨年末に第1報(12月19日時点)、今年2月に第2報(1月26時点)が報告されており、18日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」には3月2日時点の第3報が示されました。
まず現在(昨年7月1日、以下同)の医療機能について、各病院は次のように考えています。
▽高度急性期:19万1180床(全体の15.5%)
▽急性期:58万1179床(同47.1%)
▽回復期:10万9617床(同8.9%)
▽慢性期:35万1953床(同28.5%)
療養病床から「高度急性期」との報告が331床あります。この点について、日本慢性期医療協会の武久洋三会長は12日の記者会見で、「協会役員の療養病床にはSCU(脳卒中ケアユニット)が3床あり、これは高度急性期で報告した」と述べており、内訳の分析が待たれます。
またDPC病院では、現在の病床について次のような機能を持っていると考えています。
【I群】(大学病院本院)
高度急性期94.3%、急性期5.2%、回復期0.2%、慢性期0.4%
【Ⅱ群】(大学病院本院並みの医療を提供する病院)
高度急性期75.9%、急性期22.6%、回復期0.6%、慢性期0.9%
【Ⅲ群】(その他の病院)
高度急性期19.6%、急性期70.6%、回復期4.8%、慢性期5.0%
さらに特定機能病院では、現在の病床の機能を▽高度急性期95.6%▽急性期4.1%▽回復期0.1%▽慢性期0.1%―と考えていることも分かりました。
有床診療所では同様に▽高度急性期0.8%▽急性期62.9%▽回復期17.1%▽慢性期19.2%―と考えています。
一方、6年後(20年時点)に自院どのような医療機能を整備する意向かについては、次のように報告されています。
▽高度急性期:19万9634床(全体の16.1%)
▽急性期:55万2964床(同44.7%)
▽回復期:14万1428床(同11.4%)
▽慢性期:34万3864床(同27.8%)
現在から20年にかけて、「急性期」の3.6%、「慢性期」の3.9%が「回復期」へ転換する意向を示しています。
さらに、25年時点の医療機能ごとの病床数(任意報告)は次のようになりました。
▽高度急性期:11万3814床(全体の17.9%)
▽急性期:27万1820床(同42.7%)
▽回復期:7万7077床(同12.1%)
▽慢性期:17万3247床(同27.2%)
地域医療構想策定ガイドラインが固まり、▽高度急性期は1人1日当たりの医療資源投入量が3000点以上▽急性期は同じく600点以上▽回復期は同じく175点以上―という目安が示されました。厚労省は、この目安に「医療内容」を加味して精緻化し、病床機能の「定量基準」を模索していきます。
今年10月に報告する「15年7月1日」時点の機能などについては、こうした目安を勘案したものとなるためどのような結果が出るのか注目が集まります。