総病床数の15%は「高度急性期」、DPCのI群は95.7%-病床機能報告の速報値
2015.2.13.(金)
厚生労働省が12日に公表した「病床機能報告制度における機能別病床数の報告状況」の速報値(第2報)によりますと、全国の医療機関から報告があった、高度急性期の病床数は2014年7月1日現在、17万6193床で全体の15.6%を占めました。
これ以外の病床数の内訳は、▽急性期が53万3078床(全体の47.2%)▽回復期が10万2493床(同9.1%)▽慢性期が31万7856床(同28.1%)-でした。DPCの病院群別に見ると、大学病院本院で構成されるI群では全病床の95.7%、Ⅱ群では全病床の75.3%を高度急性期と報告しています。
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厚労省は昨年末にも報告状況の速報値(12月19日時点、第1報)を公表しており、今回は1月26現在の状況を精査したものです。12日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」に報告されました。
まず14年7月1日現在、各病院が自分たちの機能をどう考えているのかを見ると、次のようになりました。
▽高度急性期:17万6193床(全体の15.6%)
▽急性期:53万3078床(同47.2%)
▽回復期:10万2493床(同9.1%)
▽慢性期:31万7856床(同28.1%)
療養病床からも「高度急性期」との報告が115件ありますが、この点について山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「目を疑う内容だ。国民に混乱を招くのではないか。機能ごとの定義を一般国民でも理解できるように設定する必要がある」と批判しています。
14年7月1日現在の状況をDPCの病院群別などで見てみると、次のようになっています。
▽I群(大学病院本院)では、全病床の95.7%を高度急性期と報告
▽Ⅱ群(大学病院本院並みの医療を提供)では、同じく75.3%が高度急性期
▽Ⅲ群(その他)では、高度急性期は19.6%にとどまり、全病床の70.6%が急性期
▽特定機能病院では、全病床の97.1%が高度急性期
また20年の時点(6年後)での医療機能ごとの病床数は次のように報告されました。
▽高度急性期:18万4251床(全体の16.3%)
▽急性期:50万6996床(同44.7%)
▽回復期:13万2297床(同11.7%)
▽慢性期:30万9661床(同27.3%)
14年7月現在の機能を「急性期」と報告した病床の3.7%が「回復期」へ転換し、同じく「慢性期」と報告した病床の3.9%が「回復期」へ転換する意向を示しています。
さらに、25年時点の医療機能ごとの病床数(任意報告)は次のようになっています。
▽高度急性期:10万5508床(全体の18.1%)
▽急性期:24万9920床(同43.07%)
▽回復期:7万2243床(同12.4%)
▽慢性期:15万4131床(同26.5%)
病床機能報告制度の情報は、一般にも公表されます。ただし、医療機関の個人情報である点や、住民・患者には難解な項目も含まれていることから、次のように公表範囲を設定することが12日の検討会で決まりました。
▽構造設備や人員配置などに関する項目は、原則すべてを公表する
▽医療の内容に関する項目は、原則「大項目のレセプト件数」に未公表する
▽手術件数のうち臓器別の件数、リハビリ件数のうち疾患別件数などについては、患者の選択に資する観点から公表する
例えば、放射線治療の件数は公表されますが、「1門照射が○件、対向2門照射が○件」といった詳細なデータは公表されません。
こうした情報は、都道府県が分かりやすく加工して公表します。また医療用語は一般住民には馴染みがないため、「分かりやすい説明」が付されます。この点、厚労省は公表フォーマットのイメージを資料にして提示しましたが、多くの委員から「もっと分かりやすく工夫すべき」との注文が付いています。