GHC湯原「病床管理はチームで」、病院管理委の早期設置を提案―病院ダッシュボード操作体験会
2015.3.23.(月)
院内の既存データを使って自病院の診療機能を把握したり、他病院と比較したりできる次世代型病院経営支援サービス「病院ダッシュボード」の操作体験会が17日、東京・新宿のGHCオフィスで開催され、GHCアソシエイトマネジャーの湯原淳平が「看護必要度データ制度と病床管理-適切な看護の評価-」をテーマに講演しました。
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2014年度の診療報酬改定では、入院医療の報酬の取り扱いが大きく変更されました。これは「病床機能の分化」を推進し、その病棟(病床)にふさわしい患者を入院させることを狙ったものと言えます。
特に2012年現在、36万床以上ある7対1一般病棟の病床は、財務省が「適正な水準への削減」を極めて強く要請しただけでなく、「現在の7対1には好ましくない状況がある」という考えが医療界にもありました。中でも現場に大きな影響を与えたのが、「重症度、医療・看護必要度」(従来の「重症度、看護必要度」)の見直しでしょう。
厚生労働省は3月4日、中央社会保険医療協議会の総会に示した「一般病棟用の重症度・看護必要度の基準該当患者割合別の医療機関の分布」によりますと、14年度報酬改定が行われる前の13年7月現在、7対1病院の6割は15~20%ですが、残りの約4割の病院では、重症度の高い患者の割合が20%以上を占めていました。
湯原は、「4年間看護必要度をDPCデータに突合して分析してきた経験からすると、資料に提示されている重症度・看護必要度が高過ぎる」と入力データの精度を疑問視した上で、厚労省が今後、DPCデータと『重症度、医療・看護必要度』のデータを付け合せ、適正化を行う可能性もあるとの見方を示しました。「(7対1の算定病院に)看護必要度の生データの提出が義務化されるかもしれない」とも述べました。
現在でも、病床管理を適切に行い、「重症度、医療・看護必要度」の高い患者を入院させなければ、7対1の施設基準を満たせなくなることに変わりはありません。
さらに、都道府県では来年度から「地域医療構想」の策定を開始することになっており、将来的には、「定量基準」に基づいて各病院が自らの病棟を▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期―のいずれかに振り分けなければならなくなります。ここでも「病床管理」が極めて重要となってきます。
看護師でもある湯原は「病床管理は現在、個々のナースのいわば『職人』芸によって行われていることが多い」と指摘しました。しかし、入院時点(あるいはその前)から早期退院に向けたマネジメントを行う必要性が増す中では、▽病床・予約状況の把握と提供▽緊急入院のベッドの調整・確保▽クリティカルパスの順守状況のモニタリング▽転科・転棟の調整―などといった業務を看護師が単独で行うことは今後、難しくなってきます。
そこで湯原は、医療の質を担保した上で、適切な在院日数と稼働率を維持し、健全な病院経営を推進するために、チームによって病床管理を行うことが必要不可欠だと強調しました。
具体的には、診療部、看護部、事務部の専任メンバーによる「病床管理チーム」を院内に設置し、平日日勤に発生する空床利用の順位を、これらのチームが「毎日のベッドコントロール会議で決定する」ことを湯原は提案しました。医療・介護の同時改定と新しい医療計画が策定される18年度に対応するために、こうした対応は「1~2年以内」に取る必要があると強調しました。
さらに湯原は、こうした取り組みによって、1日単価が5万9000円弱から6万2000円弱に向上した500床規模の病院のケースや、200床規模の病院では年間1990万円の増収が見込んでいることなども紹介しました。
病院ダッシュボードの操作体験会も行われ、GHCが用意したパソコンを使って操作方法を学びました。GHCで病院ダッシュボードの営業を担当する田中慶太は主に「DPCケース分析」の使い方を、セールスマネジャーの尾原俊一は「外来分析」、同じくセールスマネジャーの竹井政道は「手術分析」の使い方について、仮想データに基づいて実践的に解説しました。
田中は、「病院ダッシュボードでは分析はGHCが行うので、病院内で分析を行う手間がはぶける」「図表を使って課題や問題点を容易に把握できる」「入院から外来、チーム医療に至るまでさまざまな分析が可能になる」と強調しました。
病院ダッシュボードは、▽DPCデータ▽財務データ▽外来レセプトデータ▽手術データといった、院内に「既にあるデータ」を基に、GHCのコンサルティングノウハウをウェブで配信するサービスです。今夏からは全国の病院の医療材料購入価格を把握できる「材料ベンチ」機能も追加されます。
自病院の状況はもちろん、他病院とのベンチマーク分析を行うことで、早急な改善が必要な課題をピックアップしたり、改善の方向性をクリアカットに把握したりすることが可能です。
詳しいサービス内容は以下のサイトから確認できます。また、開発の背景や製品概要を動画で紹介しています。ぜひご覧ください。