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激変緩和措置で救済される病院、ドクターヘリ受入れや医師派遣に積極的―DPC評価分科会

2015.3.23.(月)

 診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会は、医療機関別係数の「激変緩和措置」に関する議論を本格化させています。23日に開かれた会合では、135の激変緩和対象病院に行ったアンケート結果の中間報告が示されました。

 アンケート結果では、激変緩和措置で救済される病院はドクターヘリの受け入れが多かったり、へき地への医師派遣に積極的な傾向が見られました。分科会は「基幹的な病院が経営不振に陥り、地域医療が揺らぐことは好ましくない」と考えており、今年秋には何らかの結論が出される見込みです。

3月23日に開催された、「平成26年度 第9回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

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医療機関群、基礎係数の導入による経営の「激変」を緩和

 DPC制度は2012年度の診療報酬改定によって、大きく見直されました。その1つが、「医療機関群」と「基礎係数」の導入です。

 これは、DPC病院を▽大学病院本院で構成されるI群▽大学病院本院並みの医療を提供する病院で構成されるⅡ群▽その他の病院で構成されるⅢ群―に分け、医療資源投入量を基礎とした「基礎係数」を群ごとに設定するものです。

 これに伴い従来の「調整係数」は、「基礎係数」と「機能評価係数Ⅱ」に置き換えられていますが、機能評価係数IIへの置き換えは▽12年度に25%▽14年度に50%▽16年度に75%▽18年度に100%―という段階的な置き換えになっています。

 すると病院によっては、置き換えによって医療機関別係数が大きく変動することがあり、経営を不安定にしかねません。そこで分科会は「経営を安定させ、地域医療の確保する」ために、12年度改定以降、「激変緩和措置」を設けており、具体的には、改定前後の推計支払額がプラスマイナス2.0%を超える病院について、暫定調整係数(置き換え中の調整係数)の調整が行われることになりました。

 激変緩和措置は16年度改定まで(18年度改定時点で消滅する)とされていますが、対象となる病院数は増加を続けており(12年度は42施設、14年度は135施設、16年度も増加見込み)、今後、どのように対応すべきかが大きな課題となっているのです。

激変緩和措置の今後、秋までに何らかの結論を

 分科会では、多くの委員から「地域医療を守るために、何らかの救済措置が必要」という意見が出され、厚労省は実態調査に乗り出しました。23日に開かれた分科会にはその中間報告が行われています。

 調査対象は、変動率がプラス2%以上の病院(プラス病院、医療機関別係数がカットされている)82施設と、マイナス2%以上の病院(マイナス病院、医療機関別係数が補てんされている)53施設で、回答率は100%。プラス病院には「小規模」「ケアミックス」の所が目立ち、マイナス病院には「500床以上の大病院」が7施設含まれています。

 調査結果を見ると、マイナス病院はプラス病院に比べて次のような特徴があることが伺えます。

▽ドクターヘリの受け入れが多い

▽へき地への医師派遣が多い

▽NICUの入室件数が多い

▽地域連携小児夜間・休日診療料の届出病院が多い

▽地域連携クリティカルパスの適用患者が多い

▽外来シフトが進んでいる

 一方、プラス病院にはマイナス病院と比べて次のような特徴があります。

▽ドクターカーの出動が多い

▽新生児搬送受入数が多い

▽小児患者の占める割合が高い

▽在宅医療の実施が多い

 ただし、小児患者が多い点については、プラス病院に「こども病院」が含まれている点が影響しており、少し割り引いて考える必要がありそうです。

 この結果について委員からは、「より細かい分析が必要ではないか」との意見が相次ぎました。厚労省保険局医療課の担当者は「医政局のデータと突合して5疾病5事業の実施状況などを調べたい」と答弁しています。

 小山信彌分科会長(東邦大学医学部特任教授)は「秋までには結論を出したい」との考えを明らかにしており、近く出そろう「財務状況」のデータも合わせて、激変緩和措置の方向について詳細な議論が行われることになります。

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