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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

様式1やDファイルなどに14桁のDPCコード記載義務化へ―DPC評価分科会

2015.3.23.(月)

 2016年度診療報酬改定に向けて、DPC制度改革の議論が進んでいます。23日に開かれた診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会では、▽様式1やDファイル、レセプトなどに現在の上6桁に加えて、下8桁のコードも記載する(14桁のDPCコードを記載)▽「適切なコーディングに関する委員会」の開催頻度(現在は年2回)を増やす▽分院よりも機能の低いか、精神病床のない大学病院本院について、機能評価係数Ⅱで対応を行う―といった方向が固まりました。

3月23日に開催された、「平成26年度 第9回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

3月23日に開催された、「平成26年度 第9回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

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「適切なコーディング委員会」の開催頻度も増加

 DPC制度では、病院自らが、請求の際に「医療資源を最も投入した傷病名」を選択し、行った手術や処置などの内容と合わせてDPCのコードを決めます(コーディング)が、「実際の治療内容や患者病態と異なるコーディングが行われている」との指摘がかねてからあります。中には故意に点数の高いコードを選択することもありますが、多くは知識不足などによるミスコーディングです。

 現在、DPC病院には「適切なコーディングに関する委員会」を年2回開催し、ルールを周知することが義務付けられています。しかし、分科会ではこれでは不十分と見て、「委員会の開催頻度を増やす」「委員会には、DPC請求に関わるすべての医師・看護師などの参加を求める」方向を固めました。

 具体的な開催頻度は今後検討されますが、ミスコーディングの割合が低い病院(上位10病院)では、平均して年間8.5回、委員会を開催しているという参考数値が厚生労働省から提示されました。

 さらに、DPC算定病院の入院患者について、「様式1、Dファイル、レセプトなどにDPC14桁コードを記載する(現在は上6桁のみ)」「出来高算定となった患者について、その理由を記載する」方向も固まりました。

 DPCコード(14桁)のうち下8桁は▽手術▽その他の処置▽副傷病名▽重症度―などで構成され、病院で行った診療行為から機械的に導かれるものですが、そうした内容を知らずにミスコーディングしてしまう病院も少なくないためです。コーディングテキストの中で下8桁の設定方法などが分かりやすく記載される見込みです。

 懸案となっていた「様式1と様式4の統合」については、次回16年度改定では行われず、18年度改定以降に持ち越しされました。

精神病床のない大学病院本院など、機能評価係数Ⅱを見直し

 この日は、I群病院(大学病院本院)の機能評価係数Ⅱの取り扱いも議題に上りました。

 

 DPC病院は、▽大学病院本院で構成されるI群▽大学病院本院並みの医療を提供する病院で構成されるⅡ群▽その他の病院で構成されるⅢ群―に大きく分類され、収入の基礎となる基礎係数はI群、Ⅱ群、Ⅲ群の順に高くなっています。

 しかし、分科会では「大学病院の中には、分院に多くの機能を移転し、機能の低い本院がI群に自動的に分類され、高機能となった分院をⅡ群としている所もあり問題ではないか」「大学病院本院は教育機関という側面を重視し高い基礎係数を設定しているが、精神病床がないのは教育機関という点で問題なのではないか」との指摘がありました。

 こうした指摘や、実際に大学病院本院から意見を聴取し、厚労省は分科会に次のような考え方を提示しました。

(1)「I群は大学病院本院」という定義は維持する

(2)分院よりも機能の低い本院については、機能評価係数Ⅱで対応する

(3)精神病床の有無を機能評価係数Ⅱに加える

 (2)は、「外保連手術指数」や「高度な医療技術の実施」などを勘案して、分院よりも機能が低いと判断された大学病院本院の機能評価係数Ⅱを低く設定するというものです。具体的な手法は今後の検討に委ねられますが、厚労省保険局医療課の担当者は「保険診療指数(旧データ提出指数)では、大学病院本院にのみ『指導医療官の派遣』を評価しており、こういった形も考えられる」との考えを述べています。

 この提案に対して河野陽一委員(労働者健康福祉機構 千葉労災病院長)からは「分院はないが、ほかと比べて機能の低い大学病院本院についても評価の在り方を考えるべきではないか」との意見も出されており、今後、評価手法と合わせて具体的な内容が厚労省内部で詰められます。

 一方(3)は、「精神病床を持たない病院は、保有病院に比べて精神疾患の患者の受け入れが少なく、また高機能施設で行われている治療(精神科電気痙攣療法やクロザピンを用いた治療など)実績が少ない」という分析結果も踏まえたもので、具体的な手法はやはり今後の検討に委ねられています。

 「精神病床の有無」という構造設備(ストラクチャー)に着目した点について、厚労省保険局医療課の佐々木健企画官は「明確で検証可能な指標だ」と説明しています。

 この提案に対して、委員からは「精神科医療をまとめて別個の機能評価係数としてはどうか」「認知症患者の治療状況を勘案してはどうか」といったさまざまな意見が出されており、評価手法と合わせて今後詰めることになります。

 なお、(3)の「精神病床の有無」に着目した機能評価係数Ⅱの見直しについては、「Ⅱ群病院」も対象とするかどうか検討されます(Ⅲ群は対象外)。

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