Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

不正確なコーディングなど7病院からヒアリング DPC分科会、厚労省「慎重に対応検討」

2014.11.27.(木)

 診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会は26日、診療報酬を請求する際の前提となるコーディングを正確に行えていない病院や、入院患者に提供する診療の密度が分院よりも低い大学病院本院の関係者らを対象に実態をヒアリングしました。同分科会では、ヒアリングによって明らかになった課題を解消するため、2016年度の診療報酬改定に向けて算定ルールの見直しの方向性などを話し合いますが、厚生労働省は「具体策の検討はこれから」と慎重なスタンスで、現場の実態を引き続き見極めたながら対応を検討します。

【関連記事】
調整係数廃止の激変緩和、対象病院の「役割」把握へ DPC評価分科会
DPCの中間まとめ了承、中医協小委

 今回、ヒアリングの対象になったのは、実際に選択された診断群分類と、EFファイルに基づいて機械的にコーディングした場合の診断群分類の「かい離率」が極端に高かったり低かったりする病院や、診療密度が分院よりも低い大学病院の本院など計7病院です。

 このうち適切なコーディングに関する論点として厚労省は、コーディングの手順やかい離率が高くなった理由、DPC対象病院が院内に設置することになっている「適切なコーディングに関する委員会」の運営状況などを挙げていて、「あさぎり病院」(兵庫県明石市)や「徳洲会静岡病院」(静岡市駿河区)などから実態をヒアリングしました。

 13年4月-14年3月のデータを同省が集計した結果、DPC対象病院全体でのかい離率は0.66%でした。これに対してあさぎり病院と静岡徳洲会病院のかい離率はそれぞれ3.7%、2.7%と比較的高く、コーディングのかい離が見られた症例の大半では、EFファイルなどに基づく機械的なコーディングに比べて収益が高くなっていました。

 病院側は「意図的ではない」などと理解を求めましたが、この日の会合では「DPCの制度は性善説に基づいていて、コーディングの重要性は高い。エラーが多い医療機関には多少ペナルティーを付けるとか、いわゆる“アップコーディング”ではペナルティーを増やすとか、そのぐらいのことを考えていく必要がある」(伏見清秀委員=東京医科歯科大大学院教授)などと、厳しい対応を求める意見が相次ぎました。

 一方、稲城市立病院(東京都稲城市)では、同じ期間のかい離率が「0.0%」でした。同病院によりますと、コーディングを検証する院内の委員会には診療情報管理士だけでなく、実際に診療を担当する医師のほか看護師や薬剤師、管理栄養士といったスタッフも参加しています。

 診療情報管理士による入力内容は医師が確認しているといい、適切なコーディングを担保する具体策として、委員会のメンバー構成やコーディングの手順も16年度の報酬改定に向けた検討テーマになりそうです。

分院の方が高機能? 埼玉医科大など2病院


 診療密度が分院よりも低い大学病院の本院としてヒアリングに参加したのは、「埼玉医科大学病院」(埼玉県毛呂山町)と「自治医科大学附属病院」(栃木県下野町)です。

 このうち埼玉医科大学病院の外科医の人数は計58人(14年10月現在)ですが、DPC病院Ⅱ群に位置付けられている分院の「埼玉医科大学総合医療センター」(埼玉県川越市)では計78人と、本院よりも手厚い体制です。また、診療密度の高さを示す「一日当たり包括範囲出来高平均点数」や、入院患者に提供している手術の難度を示す「外保連手術指数」なども分院が本院を上回っていました。

 病院側は「すべての診療科を丸めて平均値を見ると、当然そうなる」などと訴えましたが、分科会の藤森研司分科会長代理(東北大学大学院教授)は、「例えばⅠ群の基礎係数はすべての大学病院本院の平均値がベース。(診療密度の)低い病院があると、本院しかない大学病院からすれば足を引っ張られていると見える」と述べ、すべての診療科を整備していなかったり、診療機能を意図的に分院に移行させていたりする大学病院本院に対しては、基礎係数を低く設定するなどの対応を求めました。

 小山信彌分科会長(東邦大学医学部特任教授)は、「いいか悪いかではなく、現状を把握した上で、どう評価したら最適かを検討する材料にしたい」などと説明しました。

大学本院、不適切なら「係数Ⅱで調整も」―佐々木企画官


 中央社会保険医療協議会は、大学病院本院をDPC病院Ⅰ群に位置付ける現在の枠組みを16年度の報酬改定でも維持する方針を示していますが、厚労省保険局の佐々木健・医療課企画官は26日の会合終了後、「群分けそのものは維持するとしても、(不適切なケースが仮に見つかれば)機能評価係数Ⅱの配分で調整する余地は残っている」と述べました。これは、「大学病院本院=Ⅰ群」という枠組みは維持するものの、不適切なケースには、地域医療への貢献などの実績を評価する機能評価係数Ⅱの配分を少なくするような対応の可能性を示すものです。

 DPC対象病院への包括部分の診療報酬に反映される基礎係数は、DPC病院群ごとに3通り設定されていて、Ⅰ群、Ⅱ群、Ⅲ群の順に高くなっています。Ⅱ群病院になるには診療密度の高さなどの基準をクリアする必要がありますが、大学病院本院は自動的にⅠ群として扱われるため、分院に診療機能の一部を移して診療報酬の評価が手厚いⅡ群に昇格させるケースがあると指摘されています。

病院ダッシュボードχ 病床機能報告