国内初、大動脈解離の血管内治療用ステントグラフトを保険収載―中医協総会
2015.4.8.(水)
中央社会保険医療協議会は8日、新たな医療機器の保険収載を承認しました。重度の膝関節変性などによる骨欠損などで骨組織を補強する「トラベキュラーメタルオーギュメント」や、日本発の大動脈解離の血管内治療を行う「COOK Zenith 大動脈解離用エンドバスキュラーシステム」などが7月から保険適用となります。
医薬品と異なり、医療機器は品目数が極めて多いため機能ごとに保険収載されます。具体的には、既存製品にない機能を持つ製品は「新機能」(区分C1)として、既存製品にない機能を持ち新たな技術を用いている製品は「新機能・新技術」(区分C2)として保険収載されます。
今回、区分C1(新機能)として保険収載が承認されたのは次の2製品です。
(1)トラベキュラーメタルオーギュメント
(2)COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム
(1)は、「膝関節における重度の変性、外傷、疾患による骨欠損または膝関節再建術での骨欠損など、骨組織の貧弱化または欠損を補強するために用いる」医療材料です。生体骨に近い構造を持つので、本材料内部へ生体骨が成長し、固定性の向上が期待されます。
「機能自体で直接的な工夫がなされている」と評価され、償還価格は21万6000円に設定されました。
(2)は、我が国初の「大動脈解離の血管内治療を行う」ステントグラフトシステムで、次の3製品で構成されます。
▽プロキシマルコンポーネント(償還価格152万円)
▽プロキシマルエクステンション、ディスタルエクステンション(同33万8000円) ▽ベアステント(同106万円)
高い画期性が評価され、「2回の改定を経るまで、単独区分を設定する」という特例の対象となりました。これにより類似の低価格の後発製品が保険収載されても、それにひっぱられて償還価格が低くならず、比較的高い価格が維持されます。
この日は、新たな先進医療技術が報告されています。一定の有効性・安全性が高いと判断され、先進医療に導入された医療技術(保険外診療)は、保険診療との併用が認められます。
既に薬事承認を得た医薬品や医療機器を用いるなど、比較的安全性の高い「先進医療A」として、次の技術が認められています。
▽難治性高コレステロール血症に随伴して重度尿蛋白を呈する糖尿病性腎症に対するLDLアフェレシス療法
これは難治性高コレステロール血症の患者に対して、リポソーバーという血症浄化器を用いて、血漿中のLDLを選択除去する技術です。患者1人当たり6-12回の治療が想定されており、10回の治療では「保険給付されない費用が149万5000円、保険給付される費用が103万1000円」となります。保険給付されない149万5000円のうち、患者負担は1万2000円にとどまり、残りは企業負担となります。
また、薬事承認されていない医薬品や医療機器を用いるなど、比較的リスクの高い「先進医療B」として、次の2技術が認められています。
▽難治性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ療法
▽腹膜播種を伴う胃がんに対するカペシタビン/シスプラチン+ドセタキセル腹腔内投与併用療法
前者は、抗がん剤の「リツキシマブ」について、難治性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に対する寛解導入効果があるか、安全に投与できるかを評価するものです。「保険給付されない費用が124万1000円、保険給付される費用が166万2000円」となります。保険給付されない124万1000円のうち、患者負担は37万9000円で、残りは企業負担となります。
後者は、腹膜播種を伴う胃がんの症例に対し、新規の治療方法の有効性・安全性を確認するもので、平均的な6コース投与では「保険給付されない費用が24万円、保険給付される費用が175万1000円」となります。
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