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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

5月から入院医療の現状分析や技術的課題の検討始まる―中医協の入院医療分科会

2015.4.30.(木)

 診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」が30日に開かれ、2015年度の入院医療などに関する調査項目をおおむね了承しました。

 分科会では、14年度の入院医療などに関する調査結果をベースに、5月から夏にかけて▽一般病棟入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」▽短期滞在手術等基本料▽総合入院体制加算▽地域包括ケア病棟入院料▽慢性期入院医療―などに関する分析や技術的課題の整理などを行うことも確認しています。

4月30日に開催された、「平成27年度 第1回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

4月30日に開催された、「平成27年度 第1回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

「特定除外廃止の影響」などを年度内に調査

 診療報酬改定については、主に中央社会保険医療協議会の総会で議論しますが、DPCや薬価、特定保険医療材料などの個別的事項については、下部組織である専門部会や診療報酬調査専門組織で専門的な調査・検討が行われます。

 入院医療については、14年度に実施された前回の改定から「入院医療等の調査・評価分科会」で専門的な議論が行われています。ただし、前回の改定では分科会で実質的な改定の方針まで固めましたが、次の改定に向けては「専門的な調査・分析」と「技術的な課題に関する検討」にとどめられる見込みです。

 具体的には、14年度改定の影響や現状などを調査し、そこにNDB(ナショナルデータベース)やDPCのデータを加味して、課題の洗い出しなどが行われます。調査は、改定の影響が表れやすい「重症度、医療・看護必要度」や「総合入院体制加算」などを14年度に、改定の影響が出るまでに時間がかかる「7対1、10対1の特定除外制度の廃止」と「特定集中治療室管理料の見直し」を15年度に行うこととされており、この日、同年度の調査項目がおおむね固められました。

 特定除外制度の廃止に関しては、7対1、10対1を届け出ている病院から1400病院程度をランダムに抽出し、▽90日を超えて長期入院する患者の取り扱い▽特定除外に該当する患者数▽特定除外制度の見直しに対する対応(出来高算定としているのか、療養病棟の包括点数を算定しているのか)▽平均在院日数▽データ提出加算の届け出状況など▽入院料の届け出に関する今後の意向▽7対1や10対1からの転換先▽地域包括ケア病棟の届出状況―などを「病院単位」「病棟単位」でそれぞれ調べます。

 また特定集中治療室管理料の見直しに関しては、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料を届け出ている約600病院のほぼ全数に対して、治療室で▽入院患者の管理用データベースを用いているか▽感染症サーベイランスを実施しているか▽予測死亡率を測定し、それを踏まえた処置を行っているか▽入室経路別、転帰別、処置別、算定状況別の入室患者数はどれだけか▽小児特定集中治療室管理料の算定日数を超えて入院している患者はどれだけか―などを調べます。

 こうした調査項目に対しては、「地域包括ケア病棟の届け出を行わない詳しい理由(手術が包括されているからなど)も調べるべきだ」(池端幸彦委員:医療法人池慶会理事長)、「地域連携の状況も調査すべき」(石川広巳委員:社会医療法人社団千葉県勤労者医療協会理事長)といった意見が出されており、これらを踏まえた修正を武藤正樹分科会長(国際医療福祉大学教授)に一任することになりました。

 近く開かれる中医協の診療報酬基本問題小委員会に報告され、そこでの了承を経て調査が実施され、速報値が今年秋にも示される見込みです。

「重症度、医療・看護必要度」などを夏までに検討

 分科会では今後、14年度に行われた調査結果をベースに、具体的な対応を議論することになりますが、そのスケジュールは次のようになっています。

【5月から夏ごろまで】

・14年度の調査結果をベースに次のような項目について分析を行い、技術的な課題を検討する。

▽一般病棟入院基本料(重症度、医療・看護必要度など)

▽短期滞在手術等基本料

▽総合入院体制加算

▽有床診療所入院基本料

▽地域包括ケア病棟入院料

▽慢性期入院医療

▽医療提供体制が十分ではなく、医療機関の機能分化を進めることが困難な地域には医療した評価

【秋以降】

・15年度の調査結果も踏まえて、次のような事項について分析し、技術的課題を検討する。

▽一般病棟入院基本料(特定除外制度、データ提出加算)

▽特定集中治療室管理料

 検討テーマに関連して石川委員は「14年度改定で創設された地域包括ケア病棟の整備状況には、地域間で大きな差がある。在宅医療の整備と地域包括ケア病棟の届け出状況との関係などを検討していく必要があるのではないか」と指摘しました。

 また、神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は「日本病院団体協議会や日本医師会が共同で、病棟群別の入院基本料を提案する考えだ。分科会でも議論するのか」と質問。これに対し厚労省保険局医療課の担当者は「中医協に要望が出された後に、中医協がどこで議論するのかを決めることになるだろう」との見通しを示しました。

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