病院大再編時代に必要不可欠な「ハイパフォーマンス・ナース」
2015.5.1.(金)
病院大再編時代が幕を明けました。都道府県が各地域の医療提供体制を見直す「地域医療構想」など一連の政策で、急性期病床数は大きく絞り込まれる見通しです。こうした中、医療現場ではスタッフの業務の質向上と効率化が不可欠です。特に、どの病院でも最も大所帯である看護部門の業務を最適化してハイパフォーマンスなナースを育成できるかどうかは、病院の生き残りを左右しかねない大切な経営課題の一つと言えます。
ハイパフォーマンス・ナースの育成は簡単ではありません。特に地方では多くの病院が人手不足とスタッフの業務過多に悩まされています。そうした中で、経営陣や管理部門が「業務効率化」や「生産性向上」をやみくもに呼び掛けても、現場の理解を得るのが困難なだけでなく、意欲低下をもたらしかねません。
看護師でGHCのコンサルタントである澤田優香は、「パフォーマンスを高めるには、業務のプロセスとボリュームを可視化して、それをほかの病院と比較分析することが大切」と話しています。
業務を改善するには、業務のプロセスが適正かどうかの検証がまず必要です。もしも不必要な業務プロセスがあるなら、それを見直すことで大きな改善効果が期待できます。そして、プロセスの課題の洗い出しに有効なのがほかの病院とのベンチマーク分析です。もしも、ほかの病院に比べて2倍も3倍も時間をかけている業務があったり、自病院が2人で担当している業務をほかの病院では1人でカバーできていたりすることが分かれば、そこを課題解消の糸口にできるでしょう(関連記事『コンサルが伝授 看護記録の無駄・ムラ解消術』)。
「例えば、記録作成の時間を短縮するために文字数を制限するなどの工夫をしている病院もある。こうしたルールをつくらない病院では、大量に記録を付けるようになりがち」と澤田は説明します。
また、プロセスの可視化は生産性向上の第一歩となります。例えば、A病院では体位交換の時間が長いのに、褥瘡の発生率が高い。一方で、B病院では体位交換の時間が短いにもかかわらず、褥瘡の発生率が低い。この場合、B病院のナースがハイパフォーマンスである可能性が高いですが、そもそも「プロセスが長い」ということが分からなければ、こうした業務改善に向けた議論さえ成り立ちません。
ただ、「こうしたベンチマーク分析の結果だけでは、業務改善や生産性向上の具体策にまで落とし込むことは困難でしょう」と澤田は指摘します。改善の余地があることが分かっても、どこから手を付けてどう進めればいいのか、考えあぐねている人も多いのではないでしょうか。こうした実践的なノウハウを身に付けるには、ほかの病院のスタッフと実際に意見交換したり、共に学んだりすることがいちばんの近道です。
GHCでは「第6回看護必要度勉強会」を8月27日(木)、福島県郡山市で開催予定です。ほかの病院の関係者たちとのディスカッションでは、可視化されたデータだけでは分からないさまざまな発見があります。従来の看護必要度のデータだけでなく業務量のデータも使って改善策を話し合い、たくさんの病院のノウハウを共有できる場にしたいと考えています。
看護必要度勉強会の概要と申し込みページは以下の通りです。
看護の質向上や「ハイパフォーマンス・ナース」の育成に興味をお持ちの方はぜひご参加ください。
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