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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

処遇改善加算の職場環境改善要件、新たな取り組み内容を明示―介護報酬改定Q&A(Vol.2)

2015.5.11.(月)

 介護職員処遇改善加算の職場環境改善要件(旧、定量的要件)について、「2015年4月からの取り組み」と「従前からの取り組み」とで内容の重複があってもよいが、両者を分けて届け出書に記載することが必要―。厚生労働省が先ごろ公表した「介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)」では、介護職員処遇改善加算についてもこのような詳細な解説を行っています。

加算Iはキャリアパスと環境改善の要件すべてを満たす必要

 介護職員処遇改善加算は、かつての「介護職員処遇改善交付金」を引き継ぐ形で、2012年度の介護報酬改定で創設されました。今回の15年度改定ではさらに拡大され、次のように4類型となっています。

(1)加算I:賃金体系に関するキャリアパス要件1と、資質向上に関するキャリアパス要件2のいずれも満たし、かつ15年4月から賃金改善以外に関する職場環境改善要件(旧、定量的要件)を満たすことで算定できる

(2)加算II:賃金体系に関するキャリアパス要件1または、資質向上に関するキャリアパス要件2のいずれかを満たし、かつ賃金改善以外に関する既存の職場環境改善要件を満たすことで算定できる

(3)加算III:賃金体系に関するキャリアパス要件1または、資質向上に関するキャリアパス要件2、あるいは賃金改善以外に関する既存の職場環境改善要件のいずれかを満たすことで算定できる

(4)加算IV:賃金改善などを行うことで算定できる

2015年度介護報酬改定で、介護職員処遇改善加算は全4区分となった

2015年度介護報酬改定で、介護職員処遇改善加算は全4区分となった

 職場環境改善要件とは、厚労省は▽働きながら介護福祉士の取得を目指す者に対する実務者研修受講支援▽小規模事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築▽新人介護職員の早期離職防止のためのエルダー・メンター(新人指導担当者)制度等導入▽タブレットPCによるケア内容の共有など、ICTを活用した介護職員の事務負担軽減▽中途採用者(他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等)に特化した人事制度の確立―などを具体例として挙げており、(1)の加算Iを算定する場合には、従来とは別の取り組みであることが分かるように届け出る必要があります。

 例えば、「介護職員の負担軽減のための介護ロボット導入」を従来、行っており、15年4月から同様の目的で新たに「リフトの介護機器を導入」する場合には、「その他」欄に2つが別個の取り組みであることを記載しなければいけません。

 なお、(1)の加算Iを算定するためには、「加算の届け出日の属する月の前月までに実施した処遇改善」に要した費用を全職員に周知していることが必要です。これを文言通りに解釈すると、15年4月から加算Iを算定することは不可能ですが、厚労省は「15年9月末までに加算Iの届け出を行う場合には、実施予定内容を全職員に周知することでよい」との特例措置を設けています。

「通常の定期昇給」を賃金改善手法の1つとすることも可

 また処遇改善の方法の一つとして、「過去に自主的に実施した賃金改善分」や「通常の定期昇給などで実施した賃金改善分」を含められることも明確にされました。

 この点について厚労省は、14年度以前に処遇改善加算を取得していた介護サービス事業者の介護職員では、次のいずれかと、加算取得後の賃金水準を比較して、必要な改善(賃金の引き上げなど)を行っていることが要件となるためと説明しています。

▽加算を取得する直前の時期の賃金水準(交付金を取得していた場合は、交付金による賃金改善の部分を除く)

▽加算を取得する月の属する年度の前年度の賃金水準(加算の所得による賃金改善の部分を除く)

 このほか、処遇改善を一時金で行う場合、一時金の支給日まで在籍している者のみを対象とすることも可能です。ただし、事業所全体で賃金改善を満たしていることや、処遇改善内容を職員に周知していることなどが必要となります。

 また、15年度から新たに介護サービス事業所や介護保険施設を開設する場合にも処遇改善加算を算定することが可能です。その際、加算を算定していない場合の賃金水準から、賃金引き上げがどれだけ行われるのかなどを明確にし、就業規則や雇用契約書などに記載することも必要となります。

 なお、介護予防訪問介護・通所介護を、新たな総合事業(介護予防・日常生活支援事業)に移行する場合は介護保険給付ではなくなるので、処遇改善加算を算定できなくなります。

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