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医療機能にめりはり、カギは「急性期らしさ」(上)―在院日数は9日まで短縮か

2014.9.2.(火)

 「2025年問題」は高齢化の進展だけでなく、労働人口が今後、減少に転じるという点で深刻な問題です。また、2025年度までに社会保障費が36%増えるのに対し、GDPの伸びは27%にとどまるとの推計もされています。このような将来を見越してか、14年度の診療報酬改定も1.26%の実質マイナス改定となり、こうした傾向は今後も続くものと思われます。

グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン 社長 渡辺幸子

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 急性期病院にとって今回の改定のポイントは“急性期らしさ”へのチャレンジで、キーワードは「機能分化」と「連携」です。これらの大切さは以前から言われてきましたが、今回の改定ではさらに強く打ち出されています。厚生労働省は、25年に向けて7対1の急性期病床を大幅に減らす方針です。ただ、総病床数を減らすのではなく、7対1の病床を回復期などにシフトさせる方向で、現在のワイン型からヤクルト型への移行を促しています=図1=。
2014.9.2メディウォッチ 14年度改定総括 渡辺さん①
 背景には、人口千人当たりの急性期病床数が、経済協力開発機構(OECD)各国の平均3.4床に対し、日本では8床と倍以上であるという現状があります。

 急性期病床が多い背景には、病床の機能分化が進み切らず回復期などの患者も7対1の病棟で診ている状況があるとされており、それが入院を長引かせている側面もあります。そこで「機能分化」の方向性をより強く打ち出し、診療報酬の点数を付けてでも誘導しようというのが、厚労省の認識だと考えられます。

7対1削減、在院日数短縮…医療再編の仕掛けさまざま

 「急性期らしさ」を測る大切な要素の一つが平均在院日数です。厚労省は急性期病院の在院日数を将来、9日程度にまで短縮させる方針だとも言われています。4月の改定でDPC関連の対応に盛り込まれた「点数設定方式D」 の拡大も、在院日数短縮の布石の一つです。この点数設定方式では、診療報酬が最も高い「入院期間Ⅰ」が1日だけで、2日目からは点数が大幅に下がります=図2=。それだけに、これに該当する診断群分類の在院日数をどう適正化させるかは重要なテーマです。
2014.9.3メディウォッチ 14年度改定総括 渡辺さん②
 短期滞在手術等基本料の対象手術・検査の診療報酬は、米国のDRGと同じ一入院当たりの包括払いとなり、しかも一般病棟入院基本料の在院日数の計算に含めないこととされました。16年度以降、ほかの手術や検査にもこの点数の適用が拡大される可能性が高く、今後は外来手術・検査、日帰り手術の院内体制をどう整備すべきかを考える必要があります。

 入院日数が90日を超えても診療報酬の大幅引き下げを回避できる一般病棟の「特定除外制度」も廃止されました。13年7月に304病院を退院した19万7143人を対象にGHCが行ったシミュレーションでは、今回の報酬改定による平均在院日数の延長インパクトは、(1)短期滞在手術等計算対象外によるものがプラス1日程度(2)特定除外制度廃止によるものがプラス1.5日程度―で、これらを合わせるとプラス2.5日程度という結果でした。

 急性期病院の平均在院日数を9日程度にまで短縮させるのが国の方針なら、今後もこうした方向での見直しが続くのは既定路線と言えます。7対1の基準である「平均在院日数18日以内」を現時点でクリアしていても、安心はできません。
7対1削減、在院日数短縮…医療再編の仕掛けさまざま

看護必要度のデータ精度向上を

 今回の改定では、従来の「重症度・看護必要度」の名称が「重症度、医療・看護必要度」に変更され、入院患者にどのような処置が必要かをチェックする「A項目」の評価票の中身が見直されました。具体的には、従来の項目のうち「血圧測定」「時間尿測定」「喀痰吸引」が削除され、抗悪性腫瘍剤の内服など専門的な治療・処置の項目が加わりました。

 入院期間別の重症度を主要診断群(MDC2)ごとに調べたデータがあります=表1=。これは、DPCデータと看護必要度のデータをマッチングさせて分析した結果です。それによると、入院期間Ⅰでは7対1の算定要件「重症度15%以上」をクリアしている診断群が多いものの、筋骨格系は入院期間Ⅱに重症度を大きく下げ、4.8%にまで落ち込んでいます。
2014.9.5医療の未来をウォッチ 表1
 重症度を高く維持するだけでなく、今後は看護必要度のデータの精度を高めることも重要になると思われます。

 残念ながら現在は、これらのデータの精度は極めて低いと言わざるを得ません。GHCがコンサルテーションを行っている病院にも、過小評価と過剰評価が混在しているケースが多く見受けられます。病院からすると、過小評価によって7対1の要件をクリアできなくなることの医業収益損失リスクは億単位(年ベース)に上ります。一方、厚労省からすると、過剰評価を見逃さないようデータを厳しくチェックすることが重要な課題でしょう。

 「重症度、医療・看護必要度」そのもののデータ提出が将来、義務化される可能性もあります。

 GHCでは、看護必要度データとDPCデータを統合し、疾患別に重症度をベンチマークすることでデータ精度の改善を支援しています。病棟別や、看護必要度の項目別からも改善点が見えてきます。看護必要度のA項目の精度はDPCデータからチェックできますが、B項目は実施エビデンスがないため、B項目同士の相関関係を基にチェックします。

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※この記事は、2014年5月25日に開かれた「病院経営セミナーレポート―2025年モデルに向けた地域中核病院の経営の舵取りとは―」(GEヘルスケア・ジャパン主催)での渡辺の講演内容がベースです。