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GemMed塾 「看護必要度」新制度シミュ―レーション

医療機能にめりはり、カギは「急性期らしさ」(下)―17年度には将来構想を

2014.9.2.(火)

 医療資源が凝縮される手術室をマネジメントせずに急性期病院とは言えません。米国の病院では早朝から手術が開始され、昼間の時間帯も稼働率を落ち込ませずに運営しているのが特徴です。米国の病院では、午前9時から午後5時までに手術室の稼働率が8割以上ないとマネジメントに「問題あり」とみなされます。

グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン社長 渡辺幸子

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 これに対して日本の急性期病院の稼働率は、せいぜい平均6割程度というところです。午前中の立ち上がりが遅く、昼に稼働率が一層下がり、午後にピークが来るケースも少なくありません。午前中に稼働が立ち上がらないのは、医師が午前中、外来患者で忙し過ぎることが原因の一つです。

 手術室のマネジメントでは、次の手術までの時間(ターンアラウンドタイム)の短縮や、同じ術式を他病院とベンチマークすることで手術前後の時間をどれだけ短くするかも重要なポイントです。手術室の実態を分析しベンチマークすることによって、ブラックボックス化していたオペレーションが可視化され、改善につなげられるようになります。

 手術室の稼働率が月曜に低く、症例数も少ないケースが見受けられます。月曜に手術をするには週末に入院を受け入れる必要がありますが、週末は看護体制が手薄なため、このタイミングで入院を受け入れることに消極的、という実態が背景にあります。

 解決策の一つとして「入院サポートセンター」や「術前検査センター」などの導入が考えられます。専門の部署が責任を持って術前マネジメントを実施する体制をつくることで、土日でも入院を受け入れやすくなり、その結果、月曜の手術件数が増え、手術室の稼働率アップにつながります。術前の入院時病棟業務が外来にシフトされるため、在院日数短縮や病棟で勤務する看護師の負荷軽も期待できます。

 さらに術前検査の実施や、内服薬の有無の確認などを入院サポートセンターが一括して担うことで、医師の業務負担を軽減したり、検査漏れなどによって手術が中止に追い込まれるケースを減らしたりする効果を見込めます。

10月に病床機能報告制度、加速する医療再編

 今回の報酬改定によって機能分化せざるを得なくなる病院も出てくるでしょう。その理由としては、▽7対1の維持(一般病床の重症度向上)▽病床利用率の維持・向上▽増収戦略(DPCの日当点を地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟が上回るケース)-が挙げられます。

 「高度急性期」や「急性期」「回復期」といった医療機能のうち、自分たちが現在、どれをカバーしていて将来はどうするのか、医療機関が都道府県に報告する「病床機能報告制度」が医療法改正に伴って今年10月から始まります。医療機関による報告は病棟単位が基本で、看護必要度を満たす患者の割合もここに含まれます。

 GHCがコンサルテーションしているある病院では、病棟別に見ると看護必要度が15%を割り込む病棟が全体の3割を占めていました。入院基本料は近い将来、病棟ごとに算定を届け出る形になる可能性が高いと言われていて、これらの病棟で7対1を算定できなくなると、この病院では年間でのロスは約1億6500万円に上るとみられます。

 在院日数の短縮という側面では、今回の改定で病床稼働率の低下による医業収入の落ち込みを招き、看護必要度という側面では、15%に満たない病棟が将来、7対1入院基本料から外れる可能性があります。これらを踏まえると、厚労省が急性期病棟を地域包括ケア、回復期リハ、慢性期の病棟に誘導していることが明らかです。

 医療機関別係数を加味した入院期間別の点数を、地域包括ケア病棟を意識しながら見ると、入院期間Ⅰでは1日当たりのDPC包括点数の9割近くが3000点以上となっていますが、入院期間Ⅲになると7割以上が2500点を割り込みます。

 地域包括ケア病棟の診療報酬が1日3000点ほどだとすると、DPCの診療報酬がそれ以下なら、地域包括ケア病棟の方が経営的に有利と言えます。ただし、地域包括ケア病棟は急性期を脱した病態の患者を受け入れることが目的なので、点数のみを考慮して転棟するかどうかを決定することは避けねばなりません。

医療ニーズの将来予測、15年度には分析を

 2014年度の改定では病床再編・機能分化が推進され、国は7対1病床を確実に削減する国のスタンスが明確になりました。7対1病床(=急性期病床)を維持させる上で、「在院日数の短縮」と「重症度、医療・看護必要度」が病院経営的に大きなインパクトを持ちます。また、地域包括ケア病棟・回復期リハへの移行が促進され、病棟マネジメントの重要性も高まってくると想定されています。

 こうした中で急性期病院が「2025年問題」を乗り越えるには▽将来の地域医療ニーズを読む▽国の施策を読む▽現実を直視する―が求められます。

 具体的には、人口動向、疾患がそれぞれどう変化するかを見極めた上で、地域医療ニーズをシュミレーションしていくことが重要です。15年度末までに調査・分析を終えて、それを基に戦略を立て、17年度末までにはアクションを終える必要があります。地域の状況や他病院の動きによっては、より早いアクションが必要になるケースも想定されます。

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※この記事は、2014年5月25日に開かれた「病院経営セミナーレポート―2025年モデルに向けた地域中核病院の経営の舵取りとは―」(GEヘルスケア・ジャパン主催)での渡辺の講演内容がベースです。

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