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訪問看護STなどに財政支援行い、特定行為研修への派遣推進を―日看協要望

2015.5.19.(火)

 日本看護協会は18日、厚生労働省医政局の二川一男局長に宛てて2016年度予算で「特定行為に係る看護師の研修制度の推進」や「訪問看護提供体制の整備に向けた指導者の育成」などに対応するよう求める要望書を提出しました。

特定行為研修を行う機関や施設にも財政支援を

 日看協の要望事項は次の6点。

(1)「特定行為に係る看護師の研修制度」の推進

(2)就業促進と勤務環境の改善

(3)訪問看護提供体制の整備に向けた指導者の育成

(4)看護基礎教育の充実

(5)医療機関における医療安全のさらなる確保・推進

(6)周産期医療提供体制整備の推進

 (1)の特定行為は、一定の研修を受けた看護師が、医師・歯科医師の包括的指示の下に「経口用気管チューブ・経鼻用気管チューブの位置の調整」など38項目の医行為を行えるものです。今年10月に研修がスタートするのを受け、日看協は「特定行為研修へ看護師を派遣する訪問看護ステーションや介護施設などに特段の財政措置を図ってほしい」と求めています。

 研修では、特定行為に共通する科目(共通科目)を計315時間、特定行為ごとに必要な科目(区分別科目)を区分に応じて15-72時間、学びます。また、受講対象者は「おおむね3-5年以上の実務経験を有する看護師」とされています。このため、特定行為研修では、医療・介護現場で中心となる看護師が一定期間「現場を離れる」ことを意味し、マンパワーの少ない訪問看護ステーションや介護施設などでは、研修への派遣が難しいのが実際です。そこで日看協は、代替要員の確保などを行うための財政措置を図るよう求めているのです。

 このほか、▽指定研修機関や実習施設に対して、特定行為の区分数や受講者数に応じた 特段の財政措置を行う▽特定行為関連の看護師の研修制度について、医療関係職種や国民に周知する▽特定行為研修を修了した看護師の活動状況を把握・評価し、特定行為や教育内容などを適宜見直す▽診療の補助に含まれるかがあいまいな行為について、国としての見解などを明示する―ことなども要望しています。

訪問看護師を育成する指導者の養成も

 地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅医療・介護体制の充実が急務とされています。しかし、訪問看護に従事する看護職員は現在、約3万人にとどまり、今後、さらに約2万人を育成する必要があるとされています。

 そこで日看協は、「訪問看護提供体制の整備に向けた指導者の育成」を重点事項に掲げ、▽15年度在宅医療ハイレベル人材養成事業を継続する▽在宅医療ハイレベル人材養成事業に訪問看護指導者養成のためのプログラム開発を追加する―ことを求めています。

 また「周産期医療提供体制整備」を推進するために、次のような具体的事項を要望しています。

▽総合周産期母子医療センターの機能強化として、マネジメント部門に助産師も位置付け、搬送のコーディネート機能を担う看護職を配置する

▽各都道府県周産期医療協議会の構成員に、総合周産期母子医療センターに勤務する助産師を加える

▽地域周産期母子医療センターや、一般病院産科病棟の機能と要件を明確にする

▽周産期に関連するマンパワーの確保を図る

▽助産師出向支援導入事業を継続する

▽院内助産所・助産外来を推進し、標準的な指標を明示する

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