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18年度同時改定に向け、医療保険との連携が必要な事項など前倒しで検討―介護給付費分科会

2015.5.20.(水)

 2018年度の介護報酬・診療報酬の同時改定に向けて、社会保障審議会・介護給付費分科会などで(1)医療保険との連携が必要な事項(2)通所リハビリテーション(デイケア)と通所介護(デイサービス)、認知症対応型通所介護(認デイ)のそれぞれに共通な機能と特徴的な機能の明確化―などについて、これまでよりも前倒しで検討してく方針などが決まりました。

 また、介護職員の処遇状況がどれだけ改善されているかを調べると同時に、「介護従事者全体の給与水準」についても精緻な調査を行うことが決まっています。

5月20日に開催された、「第122回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

5月20日に開催された、「第122回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

通所リハと通所介護の機能明確化なども前倒しで検討

 介護報酬は、介護保険事業(支援)計画の年度に併せて3年に一度改定されるのが通例となっています。次回の改定は18年度に行われる予定で、これは6年に一度の「診療報酬との同時改定」となります。

 同時改定では、診療報酬と介護報酬の給付調整や、訪問看護やリハビリテーションなど医療保険と介護保険の双方に関連の深いサービスの取り扱いなどを大胆に見直せるなど、通常の改定よりも内容の幅が広がりますが、一方で、審議の調整を行う必要があるなど準備に時間もかかります。

 このため厚生労働省は、20日に開かれた社保審の介護給付費分科会に、例えば次の「医療保険との連携が必要な事項」「対応準備に時間のかかる事項」について、前倒しで15年度中から検討を進めていく方針を提案し、了承されました。

▽診療報酬との同時改定を念頭に、特に医療保険との連携が必要な事項について、効果的・効率的なサービス提供の在り方を検討する

▽通所リハ(デイケア)と通所介護(デイサービス)、認知症対応型通所介護(認デイ)などの居宅サービスについて、共通の機能と特徴的な機能を明確化するなどし、一体的・総合的な機能分類や評価体系の在り方を検討する

介護職員全体の給与実態を初めて精緻に調査

 また、今般の15年度改定の「審議報告」の中で「課題がある」と指摘された(1)地域区分(2)介護職員処遇改善加算(3)介護事業経営実態調査の在り方―の3点についても具体的な審議スケジュールが、次のように示され、了承されました。

(1)地域区分:対応準備に時間がかかるため、一定期間内に方向性を出す

(2)処遇改善加算:今年10月1日時点の処遇改善状況について、サービス・施設ごとに4分の1から20分の1の事業所・施設を抽出し調べる。

(3)経営実態調査:6月を目途に介護事業経営実態調査などの在り方(現在の単月調査から通年調査に移行するのかなど)について議論を開始し、15年度中にまとめる。

 (1)の地域区分については、多くの課題(区分の設定に関する課題や、区分を設定したことによって生じる課題)が発生するため、厚労省老健局老人保健課の迫井正深課長は「できるだけ前倒しで議論していただく」ことを強調しています。

 一方、(3)の経営実態調査では、「消費税率10%への引き上げ」に対応するため、課税品目の把握なども同時に行われる見込みです。もっとも、消費増税対応を「介護報酬のプラス改定」で行うかどうかは全くの白紙で、医療保険における議論の動向などもにらみながら検討していくことになります。

 なお(2)の処遇改善調査では、これまでの調査から▽調理員や事務員などについても給与水準などを調べる▽採用1年以内の従事者も調査対象にする―という2点の変更が行われます。

 後者は、介護従事者全体の給与水準を詳しく精緻に把握することが目的です。これまで賃金センサス(賃金構造基本統計調査)などで大くくりに介護従事者の給与は把握されてきましたが、「勤続年数別」「兼務の状況」などの切り口で詳しく精緻に調査するうのは初めての試みです。

 処遇改善の状況と、給与水準の実態を見ながら、18年度改定で「介護職員処遇改善加算の在り方」について根本的な議論が再度行われることになります。

今回改定の効果見るための15年度調査内容を了承

 この日の介護給付費分科会では、前日(19日)に下部組織の「介護報酬改定検証・研究委員会」で固められた、15年度改定に係る結果検証調査(15年度調査)の内容とスケジュールも了承しています。

 診療報酬と同じように介護報酬でも、改定の効果・影響を調べ、その結果を次の改定に反映させるプロセスが12年度改定から導入されています。そこでは、効果・影響が出やすい項目を改定の行われた年度(今回なら15年度)に調べ、効果・影響が現れるまでに時間がかかる項目を翌年度と翌々年度に調べます。

 15年度には、▽看護小規模多機能型居宅介護のサービス提供▽リハビリテーションと機能訓練の機能分化▽介護保険施設などにおける利用者などの医療ニーズへの対応▽居宅介護支援事業所および介護支援専門員の業務などの実態―など7項目が選定されました。

 このうち「居宅介護支援」の実態調査について、「特定事業所集中減算を廃止するという視点で調査を行うべき」との指摘が複数の委員から出ています。

 特定事業所集中減算とは、「正当な理由なく、特定の事業所へのサービス割合が80%以上と偏っている場合に、ケアマネジメントの報酬を200点減額する」というもので、ケアマネジャーの公平性・中立性を担保するための規定と説明されています。15年度の改定で偏りの基準が緩くなり、減算の対象にするケースが増えると予想されます。

 鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、「質のよい事業所にサービスが集中するのは当然だ。減算措置は良い事業所を駆逐するもの」と批判。また山際淳委員(民間介護事業推進委員会代表委員)は、「東北地方では、看護師確保の難しさから訪問看護事業所が閉鎖され、そのために特定集中減算の対象になってしまっているケースがある」と改善を求めました。

 この点、厚労省老健局振興課の高橋謙司課長は「事業所が少ないなど正当な理由がある場合には減算の対象外となる。きちんと運用していきたい」と説明しています。

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