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「市販品類似薬の保険給付除外」など、今後検討すべき―健保連の白川副会長

2015.5.25.(月)

 健康保険組合連合会の白川修二副会長が22日、前参議院議員の梅村さとし氏が主宰する「政策フォーラム」で講演し、今後の医療制度改革では「国民全体が納得できる形で、高齢者医療費の負担構造をどう改革していくのかが最大の課題だである」と強調しました。

 白川副会長はさらに、今後の診療報酬改定論議について「市販品類似薬の保険から除外したり、自己負担率を引き上げたりすることなどを検討する必要がある」との考えも述べていましたす。

健康保険組合連合会の白川修二副会長

健康保険組合連合会の白川修二副会長

高齢者医療の負担構造改革が最重要課題

 医療費が口頭高騰し、わが国の財政はもとより、健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険といった医療保険者の財政をも圧迫する中で、政府は医療保険改革案を国会に提出し、近く成立する見込みです(大病院受診、紹介状なしの定額負担など16年度から-医療保険部会で改革案まとまる)。

 しかし、法案には「公布後に、医療費の適正化、費用負担の在り方について検討を加え、必要な措置を講じる」とする附則が設けられていることから、白川副会長は「今回の法案には、医療費適正化などを抜本的に進める項目が入っていないことが分かる」と指摘。

 そのため、今後の重要な施策・論点として次の4点を検討していくことが必要と訴えました。

(1)高齢者医療費の負担構造をどのようにするか

(2)国保の「納付金制度」などの運営に関する調整

(3)医療費適正化施策

(4)短時間労働者の適用拡大

 このうち(1)の高齢者医療費については、これを支えるための拠出金が保険者財政を圧迫していると指摘されます。白川副会長は「健保組合全体で見ると、高齢者医療への拠出金が支出の38.6%を占めており、加入者への給付に使える分は6割に満たない」とし、「今後の最重要かつ緊急の課題だ」と強調しました。

 さらに、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年には、65歳以上の高齢者の医療費給付費が、医療給付費全体の68%という状況になるとも推測。

 白川副会長は、「高齢者医療を支える財源は、税、若人の保険料(拠出金)、高齢者自身に保険料しかない。これをどう国民全体が納得できる組み合わせとするか、そのための議論を早急に行わなければならない」と述べ、「国民の納得感を醸成する」ことの重要性を強調しました。

新技術は保険導入すべきだが、軽症者への給付は考慮の余地も

 (2)は、国保が18年度から都道府県単位化されることに伴い、市町村が都道府県に納める「納付金」をどう運営していくかというテーマです。

 国保財政は都道府県単位となりますが、保険料の徴収などの実務は市町村に残ります(いわば共同保険者になる)。その際、都道府県が市町村ごとに納付金を設定し、これを基に、被保険者の保険料を設定することになります。

 この点について白川副会長は、「国保の財政単位を都道府県化するのだから、将来的には県内の保険料を統一する方向に動くと考えられる。しかし市町村の努力によって医療費を低く抑えているところでは、保険料が引き上げられることになってしまいかねない」とし、都道府県と市町村の運営をうまく調整していく仕組みを検討しなければならないと指摘しています。

 (3)は、前述の通り「今後、医療費適正化を検討する」と法案に記載されている点を重視したものです。

 白川副会長は「現在、財務省を中心に調剤医療費の適正化に注目しているが、医療・介護連携などを進め医療費の伸びを適正化していく事項も重要である」との見解を述べました。

 また(4)では、来年10月から、パートタイマーなどの短時間労働者が被用者保険に加入することに関連するもので、白川副会長は「およそ25万人が国保から被用者保険へ移行すると試算されている。その際、被用者保険が納付する高齢者医療への拠出金がどのようなことになるのか」と述べ、強い危機感を持っていることを訴えました。

 一方、今後の診療報酬改定に向けて白川副会長は、「画期的な医薬品など新しい医療技術は保険適用を進めていく必要がある。これらは全額自己負担としたのでは、良質な医療へのアクセスが難しくなってしまうからだ」と述べる一方で、「軽症患者への保険給付は検討の余地があるのではないか。例えば市販薬と類似した医薬品は保険給付から外したり、自己負担率を引き上げたりすることも考えるべきだ。こうした全体のバランスを考えながら、今後の医療制度改革に向けた議論を検討していく必要がある」との考えも述べています。

 なお、会場にいた、央社会保険医療協議会の元委員である全国自治体病院協議会の邉見公雄会長が、「医療にお金がかかることを知らない医療人もいる。医学部でも、医療保険に関する教育をもっと充実すべきである」と白川委員にエールを送る一幕もありました。