都道府県ナースセンターの機能を10月から強化、離職看護師は連絡先など届け出―改正看護師等確保法
2015.5.29.(金)
医療介護総合確保推進法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)の一環として、「看護師等の人材確保促進法」(確保法)改正が今年10月からスタートします。
改正確保法は、「看護師などの資格を持ちながら結婚や出産などで退職した人」の情報を都道府県のナースセンターに登録し、復職支援を推進することを打ち出しています。
厚生労働省医政局の看護課長が21日付で都道府県に通知した「看護師等の人材確保に関する事項の施行について」では、確保法の内容を解説しています。その概要を見てみましょう。
まず都道府県ナースセンターの新たな業務に「看護師などに対して、就業の促進に関する情報提供や、相談などの援助を行うこと」が追加されます。看護師などには、「病院などを離職した場合に住所や氏名などを都道府県ナースセンターに届け出なければならない」という努力義務が課されます。
さらにセンターには、公共職業安定所などに「業務に必要な情報の提供」を求める権限が付与されます。
これによってセンターは、看護師などが退職した後も所在を把握できるようになり、「復職しよう」と考える前の段階から、電子メールや電話などで効果的・総合的な支援を実施できるようになると期待されています。
看護師がセンターに届け出るのは、▽氏名▽生年月日▽住所▽電話番号や電子メールアドレスなどの連絡先▽保健師籍、助産師籍、看護師籍、准看護師籍の登録番号と登録年月日▽就業に関する状況(職歴など)―の情報です。届け出内容に変更が生じた場には、それも届け出る必要があります。
また、病院の開設者などには看護師が離職する際、この届け出を行う努力義務が課されていることを説明し、看護師に届け出を促したり、届け出を代行したりすることが求められます(努力義務)。
厚労省の調べによると、2012年時点の看護職員数(保健師、助産師、看護師、准看護師)は153万7813人で、10年前に比べて約30万人、15年前に比べて約47万人増加しています。
しかし、いわゆる団塊の世代が75歳以上となり、医療・介護需要がピークを迎える25年には約200万人(196万-206万人)の看護師が必要と試算されており、1年間で約3万人の看護師が増加する現在のペースでは、25年には「約3万-13万人の看護師不足」が生じる計算です。
厚労省は、センター機能強化による「看護師の復職支援」のほかにも、▽勤務環境の改善を通じた定着・離職防止▽社会人経験者の看護職への取り込み促進―などを通じて、看護師確保を推進する考えです。
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