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地域包括ケア病棟、リハビリを週30単位以上実施するケースも―入院医療分科会

2015.6.1.(月)

 地域包括ケア病棟(病室を含む、以下同)におけるリハビリテーションの実施状況を見ると、施設基準の要件となっている「1日平均2単位」が最も多いが、週30単位以上、つまり1日4単位以上実施している病院も少なくない―。このような結果が、5月29日に開かれた診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」に報告されました。

 委員からは「リハビリの提供量によって報酬を区分してもよいのではないか」との提案もなされています。

5月29日に開催された、「平成27年度 第2回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

5月29日に開催された、「平成27年度 第2回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

「急性期からの受け入れ」など3つの機能を果たす

 前回の2014年度診療報酬改定で、(1)急性期からの受け入れ(2)在宅・生活復帰支援(3)緊急時の受け入れ―という3つの機能を持つ「地域包括ケア病棟・病室」が創設されました。

地域包括ケア病棟には、(1)急性期からの受け入れ(2)在宅・生活復帰支援(3)緊急時の受け入れ―という3つの機能が求められる

地域包括ケア病棟には、(1)急性期からの受け入れ(2)在宅・生活復帰支援(3)緊急時の受け入れ―という3つの機能が求められる

 過剰と指摘される7対1の移行先として注目されていますが、届け出数は14年10月時点で2万4600床にとどまっています。

 地域包括ケア病棟に転換する前の入院料を見ると、7対1、10対1、亜急性期入院医療管理料が9割以上を占めています。病院の規模は100-199床が過半数ですが、200床以上も少なくありません。

 地域包括ケア病棟へ転換した理由については、「より地域のニーズに合った医療提供を行える」が最も多く(58%)、これに「他の入院料と組み合わせることで患者の状態に即した医療を提供できる」(52%)、「収益を上げやすい」(38%)、「平均在院日数要件がない」(29%)などが続きます。

 患者の入院前の居場所に目を移すと、「自院の急性期病床」が43%、「自宅」が28%、「他院の急性期病床」が18%で、この3つで9割近くを占めます。地域包括ケア病棟を創設した際に考えられた3つの機能・役割を相当程度果たしていると見ることができそうです。

地域包括ケア病棟に入棟する前の居場所は、自院の急性期、自宅、他院の急性期で90%を占める

地域包括ケア病棟に入棟する前の居場所は、自院の急性期、自宅、他院の急性期で90%を占める

「リハビリ実施による報酬の区分」を求める意見も

 入院患者の疾患を見ると、「骨折・外傷」が最も多く50%を占めています。そのほか、「肺炎」18%、「脳梗塞」15%、「悪性腫瘍」7%、「心不全(高度非代償性)」7%などと続きます。地域包括ケア病棟に入棟する前の居場所によって疾患構成が異なっており、さらなる分析が待たれます。

地域包括ケア病棟に入院する患者の疾病は、「骨折、外傷」が最も多く、「肺炎」「脳梗塞」などが続く

地域包括ケア病棟に入院する患者の疾病は、「骨折、外傷」が最も多く、「肺炎」「脳梗塞」などが続く

 また、入院の目的は、全体では「治療のため」が67%と多くなっていますが、他院の急性期から入棟した患者に限定すると、88%は「リハビリのため」となっています。

地域包括ケア病棟に入棟する理由は、全体では「治療のため」が多いが、他院の急性期から入棟した患者では9割近くが「リハビリ目的」である

地域包括ケア病棟に入棟する理由は、全体では「治療のため」が多いが、他院の急性期から入棟した患者では9割近くが「リハビリ目的」である

 地域包括ケア病棟におけるリハビリの実施状況を見てみると、週14-16単位が最も多くなっています。これは、地域包括ケア病棟の施設基準に「リハビリの必要な患者に対し1日平均2単位以上のリハビリを実施する」ことが規定されているためと見られます。

地域包括ケア病棟では、リハビリ料が包括されているが、1週当たり30単位以上の手厚いリハビリを実施しているケースもある

地域包括ケア病棟では、リハビリ料が包括されているが、1週当たり30単位以上の手厚いリハビリを実施しているケースもある

 ここで注目されるのが、多くの病院で1日2単位以上のリハビリを実施している点で、中には週30単位以上、つまり施設基準の倍以上のリハビリを実施している病院もありました。地域包括ケア病棟ではリハビリテーション料が包括されるので、「リハビリ提供量はかなり少ないのではないか」と想定されましたが、それを覆すものと言えそうです。分科会でも、この結果は少々驚きを持って迎えられました。

 この点について、神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、「病院の頑張り具合がうかがえ、必要なリハビリを積極的に提供していることが分かる」と評価した上で、「リハビリ実施が多い所、中程度の所、少ない所とあり、すべて一律の評価でよいのだろうか。リハビリの実施量で区分してもよいのではないか」と提案しています。

 今後、リハビリを一定以上提供している病棟・病室にリハビリ充実加算を設けてはどうかという議論が行われる可能性もあります。

30日以内の退院が半数近くに

 地域包括ケア病棟の施設基準には、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度のA項目が1点以上の患者が10%以上」という要件があります。

 厚生労働省の調査結果からは「A項目1点以上の患者割合は21%」で、全体として施設基準の要件を大きく上回っていることが分かりました。具体的には、「創傷処置」「呼吸ケア」「専門的な治療・処置」「心電図モニター」を実施している患者が多いようです。

地域包括ケア病棟の入院患者における医療処置の内容(看護必要度基準から)を見ると、「創傷処置」「呼吸ケア」「専門的な治療・処置」「心電図モニター」が多い

地域包括ケア病棟の入院患者における医療処置の内容(看護必要度基準から)を見ると、「創傷処置」「呼吸ケア」「専門的な治療・処置」「心電図モニター」が多い

 また、地域包括ケア病棟の入院期間は60日が上限となっていますが、実際の在院日数を見ると、1-15日という短期間の入院が最も多く48%、次いで16-30日が25%、31-45日が17%、46-60日が8%となっています。

地域包括ケア病棟の在院日数は、1-15日間が半数近くを占める

地域包括ケア病棟の在院日数は、1-15日間が半数近くを占める

 在院日数と、入棟前の居場所別に見ると、「自宅から入棟した患者」は「急性期から入棟した患者」に比べて短い傾向にあります。

自宅から地域包括ケア病棟へ入院した患者では、急性期からの入棟患者よりも在院日数が短い傾向にある

自宅から地域包括ケア病棟へ入院した患者では、急性期からの入棟患者よりも在院日数が短い傾向にある

 在院日数が比較的短い理由の一つに、「骨折、外傷など退院予定が決まっている患者が半数近くいる」(47%)ことが挙げられるでしょう。先に見た「リハビリの積極的な実施」とも併せて、多くの病院で早期退院に向けた取り組みを積極的に行っている状況がうかがえます。今後は、より重症な患者に対する「受け入れ」と「在宅復帰支援」が期待されます。

 こうしたことから、施設基準の1つである「在宅復帰率70%以上」を超える病院がほとんどです。しかし、「入所先の施設が確保できない」「家族の希望に合わない」といった理由で退院できない患者も一定程度おり、どのように退院支援を行っていくかが今後の課題となっています。

 藤森研司委員((東北大学大学院医学系研究科・医学部医療管理学分野教授)は、「地域医療構想の中では、地域包括ケア病棟と回復期リハ病棟は『回復期』に位置付けられると思う。両者の棲み分けが今後の課題と言える」との考えを述べています。

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