リハビリマネジメント加算(II)、説明と同意あれば通所リハビリ提供の前月から算定可―介護報酬改定Q&A(Vol.3)
2015.6.3.(水)
2015年度の介護報酬改定で、基本報酬とは別個に評価される「リハビリテーションマネジメント加算」の(II)について、「リハビリ計画を利用者・家族に説明し、その同意を得る」ことで、通所リハビリ提供がない場合でも算定できることを厚生労働省が明確にしました。
これは、6月1日付の「介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)」で示されたものです。今回は、リハビリテーションに関する、介護現場からの質問に答えています。
15年度の介護報酬改定では、リハビリテーションの報酬体系が大きく見直されており、その柱は次の2本と言えます。
(1)リハビリテーションマネジメント加算を組み替え、「リハビリの管理」を強化・充実する
(2)リハビリ機能の特性を生かした「短期集中個別リハビリテーション実施加算」「認知症短期集中リハビリテーション加算」「生活行為向上リハビリテーション実施加算」を創設する
このうち(1)は、漫然とリハビリを継続するのではなく、具体的な目標(自分で料理ができるようになる、など)を立て、それに見合ったリハビリ計画を作成し、進ちょく状況などを確認しながら、プログラムを適宜見直していくことを目指したものです。
通所リハビリについては、1か月当たり230単位を算定できる「リハビリテーションマネジメント加算(I)」と、開始からの期間などに応じて1020単位または700単位を算定できる「同加算(II)」が設定されました。
加算(II)を算定するためには、▽リハビリ会議を開き、構成員である医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネジャー、居宅サービスといった担当者らが情報を共有し、会議の内容を記録する▽リハビリ計画について、医師が利用者・家族に対して説明し、利用者の同意を得る▽3か月に1回以上(開始6か月以内は1か月に1回以上)、リハビリ会議を開き、利用者の状態の変化に応じて計画を見直す▽リハビリ事業所の理学療法士らが、ケアマネジャーに対して専門的な見地から情報提供を行う▽リハビリ事業所の理学療法士らが、訪問介護員らと居宅を訪問し、専門的な見地から助言を行う―などの要件を満たす必要があります。
要件の中に、「リハビリ計画について、医師が利用者・家族に対して説明し、利用者の同意を得る」ことが含まれているため、同意と説明を得た月からでなければ加算(II)は算定できません。
ただし、厚労省はQ&Aで「通所リハビリの提供開始月の前月に同意を得た場合には、加算(II)をその月から算定することが可能」だとの見解を明らかにしました。つまり、通所リハビリを提供しなくとも、説明と同意があれば加算(II)を算定できることになります。
なお、加算(I)については、▽訪問リハビリ計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じた見直しを行う▽リハビリ事業所の理学療法士らが、ケアマネジャーを通じて、訪問介護員らに日常生活上の留意点、介護の工夫等の情報を伝達する―という要件が設定され、通所リハビリの実施を前提としていることから、リハビリ提供と合わせて取得することになります。
このほか、Q&Aでは、通所リハビリにおける加算(II)について次のような解釈を明らかにしています。
▼加算(II)の(1)(開始から6か月以内、1か月当たり1020単位)を取得中、6か月経過前に加算(I)に変更することが可能。
▼加算(II)の(1)を取得中に加算(I)に変更した場合、再度、加算(II)に戻すことは可能だが、その場合、原則として加算(II)の(2)(開始から6か月超、1か月当たり700単位)を算定する。
ただし、急性増悪などで、計画見直しの必要性が高いことを利用者・家族・リハビリ会議の構成員が合意した場合には、例外的に加算(II)の(1)を再び算定することが可能です。この場合には、あらためて居宅を訪問し、状態や生活環境などの情報を収集することが必要です。
▼加算(II)の(1)を取得中に、「3か月の1回のリハビリ会議で十分」と医師が判断した場合でも、6か月を超えていなければ加算(II)の(2)に変更できず、1か月に1回以上のリハビリ会議を開き、集中的なリハビリ管理を行わなければならない
新設された生活行為向上リハビリテーション実施加算について、「利用者の居宅を訪問し、動作能力や社会適応能力を評価し、その結果を利用者と家族に伝達する」時間は、通所リハビリの提供時間に含まれることも明確にされました。
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