骨シンチの注射剤、過敏症の既往歴ある患者は禁忌に―アナフィラキシー事例の発生受け、厚労省が添付文書改訂を要請
2015.6.5.(金)
厚生労働省は2日、肺がん治療薬の「クリゾチニブ」(販売名:ザーコリカプセル200ミリグラム、同250ミリグラム)に心不全の副作用があるため、添付文書を改訂するようメーカーに要請しました。
また骨シンチの注射剤である「ヒドロキシメチレンジホスホン酸」(販売名:クリアボーンキット)などにショック・アナフィラキシーの副作用があることも分かり、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」には禁忌となります。
クリゾチニブは、2012年5月に保険収載された、「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の治療薬です。
今般、この医薬品を使用した場合、副作用で「心不全」が生じる可能性のあることが分かりました。厚労省は、添付文書の使用上の注意に速やかに記載するよう日本製薬団体連合会を通じてメーカーに要請しました。
医療現場では、クリゾチニブを使用する場合には観察を十分に行い、▽肺水腫、胸水、心嚢液貯留などの体液貯留▽急激な体重増加▽息切れ、呼吸困難、浮腫などの心不全症状―が認められた場合には休薬、減量、投与の中止などの適切な処置を行うことが求められます。
また、骨シンチグラフィ用の注射剤である「ヒドロキシメチレンジホスホン酸テクネチウム」(販売名:クリアボーン注)と「ヒドロキシメチレンジホスホン酸」(販売名:クリアボーンキット)について、新たに「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」が禁忌に加えられます。
本剤の使用で、ショック・アナフィラキシーが生じた事例があることを受けたもので、重大な副作用に「ショック・アナフィラキシー」も追加されます。
このため医療現場では、骨シンチを行う際には、観察を十分に行い、▽呼吸困難▽血圧低下▽発疹―などの異常が認められた場合には、適切な処置を行うことが求められます。
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