JCR、脳神経疾患研究所の格付けを1段階引き上げ―BBBプラスからAマイナスに
2015.6.15.(月)
日本格付研究所(JCR)は12日、「脳神経疾患研究所」(福島県郡山市)の長期発行体に対する格付けを「BBB+」(トリプルBプラス)から「A-」(エーマイナス)に、格付けの見通しを「ポジティブ」から「安定的」にそれぞれ1段階引き上げたと発表しました。がん検診やがん陽子線治療施設など、ほかに先駆けて先行投資を進めてきたことで強固な事業基盤を確立できていて、「運営は総じて堅調」だとしています。
JCRの長期発行体格付けでは、「A」は「債務履行の確実性が高い」という見方を示しています。
脳神経疾患研究所は、福島県を中心に1都4県で8病院を運営する「南東北グループ」の中核グループで、介護施設を含めると全体でのベッド数は2000床を超えます。民間として国内で初めてがん陽子線治療施設を開設するなど、先進医療の積極展開でも知られています。
JCRでは、社会保障費の抑制圧力が強まる中で同グループが徹底した収支管理を進め、12年に立ち上げた新百合ヶ丘総合病院(川崎市麻生区)の収支改善が進みつつあることを挙げて、全体でのキャッシュフローの安定度が「一段と増している」と判断。さらに、東京・世田谷で病院、高齢者、障害者の複合施設の開設に着手している点も評価し、首都圏での事業基盤が今後、「さらに強化される」との見通しを示しています。
新事業の展開によって今後も積極投資が見込まれるため、グループの借入金は高水準で推移する可能性が高いものの、「キャッシュフローとの対比で見れば一定の範囲内で推移する」と、JCRではみています。