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調剤報酬や薬局の構造基準を抜本的に改めよ―規制改革会議の第3次答申

2015.6.19.(金)

 政府の規制改革会議は16日、現状の「保険薬局と保険医療機関の間で、患者が公道を介して行き来することを求め、また、その結果フェンスが設置されるような構造上の規制」を改めるべきなどの提言「第3次答申」をまとめ、安倍首相に提出しました。

 ほかにも、▽市販品と類似した医療用医薬品(市販品類似薬)の保険給付の在り方などの見直し▽レセプト情報・特定健診等情報データベースにおける民間利用の拡大▽有用な遠隔モニタリング技術の評価▽空室を利用したショートステイサービスの要件の見直し―なども提言しています。

医薬分業で、患者に不便も生じている

 厚生労働省は、これまで医薬分業を進めてきました。分業の利点としては、▽患者に必要な医薬品を医師・歯科医師が自由に処方できる(医療機関が医薬品を備蓄する必要がない)▽処方せんから、患者が医薬品情報を知ることができる▽薬局が薬歴管理を行うことで、重複投薬、相互作用を防止でき、薬物療法の有効性・安全性が向上する▽病院薬剤師の外来調剤業務を軽減できる―などが挙げられています。

 さらに分業を進めることで、「薬価差益」も解消できると期待されました。

 この一環として、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」(薬担)では、保険薬局は保険医療機関と一体的な構造・一体的な経営を行ってはならないと規定しています。これを受け、「保険薬局と保険医療機関とが隣接している場合、国が一度公道に出て入り直す構造を求めていることもあり、両施設の敷地境界にフェンスなどを設ける」との取り扱いがなされています。しかしこれは、高齢者や車いすの患者などに不便を強いるものです。

 さらに分業推進によって、▽門前薬局が乱立し、薬歴の一元的管理ができていない▽患者負担は高くなるがそれに見合ったサービスが提供されていない―などの問題もあります。

 こうした状況を踏まえて規制改革会議は、次のような薬局における診療報酬とサービスの在り方の見直しを行うよう提言しました。

(1)地域包括ケアの中で薬局および薬剤師が薬学的管理・指導を適切に実施する環境を整える観点から、「かかりつけ薬局」の要件を具体的に明確化する(2015年度に検討し、結論を得る)

(2)薬局の機能やサービスに応じた報酬となるように調剤報酬を抜本的に見直す。門前薬局の評価を見直すとともに、患者がメリットを実感できる薬局の機能は評価し、実際に提供したサービスの内容に応じて報酬を支払う仕組みに改めるなど、努力した薬局・薬剤師が評価されるようにする(15年度に検討し、結論を得る)

(3)薬局においてサービス内容とその価格を利用者に分かりやすく表示し、利用者が薬局を選択できるようにする(15年度に検討し、結論を得る)

(4)リフィル処方せん(一定期間内に繰返し利用できる処方せん)の導入や分割調剤の見直しに関する検討を加速し、結論を得る(15年度中)

(5)保険薬局と保険医療機関の間で患者が公道を介して行き来することを求め、また、その結果フェンスが設置されるような現行の構造上の規制を改める(15年度中に検討し、16年度に措置)

民間企業にもNDBデータベース利用の門戸開け

 このほか規制改革会議は、次のような提言も行いました。

▽医療用医薬品の給付および使用について、残薬削減等による保険給付の適正化の観点から次期診療報酬改定に向けて方策を検討し、結論を得る(15年度に検討し、結論を得る)

▽特に負担の不公平等が生じやすいとの指摘がある「市販品類似薬」については、実効性のある適正給付の在り方を検討する(15年度に検討し、結論を得る)

▽「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」の見直しの検討状況を踏まえ、NDB データの公益目的での研究利用の法律上の位置付けや制度的枠組みについて検討し、結論を得る

▽民間企業に所属する研究者であっても、NDB データの公益目的での利用が可能となるよう、民間企業からの提案に基づき、厚生労働省において NDB データを基にした集計表を作成する枠組みを構築する(15年度中に検討し、16年度に措置)

▽DPC データについて、厚生労働省全体での利用が可能となるよう、データベースを構築する(17年度に措置)

▽在宅酸素療法およびCPAP 療法の安全性、有効性などのエビデンスを確認した上で、対面診療を行うべき間隔を延長することも含めて、遠隔でのモニタリングに係る評価について、中央社会保険医療協議会において検討する(15年度中に措置)

▽遠隔モニタリングによる心臓ペースメーカー指導管理料について、安全性、有効性などのエビデンスを確認した上で、対面診療を行うべき間隔を延長することを中医協で検討する(15年度中に措置)

▽疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものであれば、患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、「対面診療と適切に組み合わせて行われるときは医師の判断で遠隔診療を行える」という取扱いを明確化する(15年度中に措置)

▽特定施設が空床を利用してショートステイを実施する場合の「利用者率10%以下」という要件の見直しを検討する(17年度までに検討し結論を得る)

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