薬剤服用歴管理指導料、「服用歴」記載なし薬局が1220―中医協総会
2015.6.24.(水)
【薬剤服用歴管理指導料】を算定しながら、要件となっている「薬剤服用歴の記録」を行っていない調剤薬局が1220あることが、日本薬剤師会などの調べで明らかになりました。厚生労働省は、自主返還などを求めていく構えです。
【薬剤服用歴管理指導料】は、患者が服用している薬剤を記録することで重複投薬や危険な薬剤の組み合わせなどを是正することを目的に、(1)薬剤情報提供文書の提供と説明(2)薬剤服用歴の記録とそれに基づく指導(3)残薬の確認(4)後発医薬品に関する情報の提供―などを行う薬局を評価するもので、お薬手帳へ記載する場合には41点、しない場合には34点を算定できます。
この指導料について、「大手チェーン薬局の一部で、(2)の薬剤服用歴の記録をせずに算定している」と報道されたことから、厚労省が▽日本薬剤師会▽日本保険薬局協会▽日本チェーンドラッグストア協会―に調査を依頼。その結果が、24日の中央社会保険医療協議会・総会に報告されました。
それによりますと、2014年1月1日から12月31日の間に、1220の薬局において薬剤服用歴が記載されておらず、未記載件数は81万2144件で、指導料算定件数全体の3.96%となっていることが分かりました。
特に日本チェーンドラッグストア協会に加盟する薬局では薬剤服用歴を記載していない割合が高く、算定件数全体に占める未記載が7.34%に上っています。
厚労省は事態を重く見て、未記載であった薬局に対して調剤報酬の自主返還などを求め、問題のある薬局には厳正な対応を行うことを明確にしています。
なお、お薬手帳の有無で指導料の点数が異なるため、未記載分のまま請求された金額がどの程度になるか厚労省は「現時点では明確でない」と述べるにとどめています。
中医協委員もこの問題を重視しており、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)は「医療保険制度の信頼を揺るがすものだ。自主返還は当然だが、しっかりと監査を行い、悪質な薬局に対しては刑事告訴も辞さない姿勢で臨んでほしい」と厚労省に要望しました。
また、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「自主返還だけで終わらせてはいけない。実態をより明らかにするべき」と指摘。白川委員もこれに同調しています。
医療保険財政が厳しさを増す中で、「調剤報酬の適正化」が支払側だけでなく、診療側からも強く求められています。そうした中で、不正とも取れるこうした事例が報告されたことを受け、厚労省保険局医療課の宮嵜雅則課長は「薬剤服用歴管理指導料の要件や、そもそもの在り方を含めて議論していただく」と述べており、今後、中医協で厳しい議論が行われそうです。
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