Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

診療報酬改定の結果検証調査でNDBの活用始まる―中医協総会で了承

2015.6.25.(木)

 診療報酬改定の効果・影響を関する調査に当たってNDB(National Data Base)の電子レセプト情報を活用していくことが、24日の中央社会保険医療協議会・総会で了承されました。

 また、この日の中医協総会では「エダラボン製剤」(販売名:ラジカット注30ミリグラム、ラジカット点滴静注バッグ30ミリグラム)を、7月1日から処方せんを交付できる注射薬に追加することも決まっています。

6月24日に開催された、「第299回 中央社会保険医療協議会 総会」

6月24日に開催された、「第299回 中央社会保険医療協議会 総会」

NDBデータ活用で、幅広い患者の状況把握できる

 診療報酬改定の議論をする際には、さまざまな調査・分析データが活用されます。その1つとして、前回改定の結果検証調査が挙げられます。

 これは2006年度の診療報酬改定から実施(調査対象は04年度改定)されているもので、テーマを絞って改定の影響・効果を調べ、その結果を次の改定に生かすことが狙いです。前回14年度改定については、影響・効果が出やすい分野を14年度に、影響・効果が出るまでに時間のかかる分野を15年度に調査します。

 24日の中医協総会では、15年度に行われる7つの調査のうち、次の5つの調査票が了承されました。厚労省は、7月にも調査票を対象医療機関に送付する予定です。

(1)「外来医療の機能分化・連携の実施状況」:主治医機能の評価の新設や、紹介率・逆紹介率の低い大病院における処方料などの適正化による影響を含む

(2)「在宅医療の実施状況」:在宅療養後方支援病院の新設や、機能強化型在宅療養支援診療所などの評価の見直しによる影響、在宅における薬剤や衛生材料などの供給体制の推進などを含む

(3)「訪問歯科診療の評価および実態」

(4)「リハビリテーションの実施状況」:廃用症候群に関するリハビリの適正化、リハビリの推進などによる影響や、維持期リハビリの介護保険への移行状況を含む

(5)「明細書の無料発行の実施状況」

 ところで、今回の調査で注目されるのが、NDB(National Database:電子レセプト情報・特定健診等情報データベース)に含まれる電子レセプト情報を活用する点です。厚労省は、「医療機関の負担軽減」と「調査の回答率確保」「幅広い対象者の状況把握」ができると見込んでいます。電子レセプト情報から把握する項目は以下の通りです。

 (1)の「外来医療の機能分化・連携の実施状況」では、▽医療機関ごとの地域包括診療料、地域包括診療加算の算定回数▽500床以上の病院などにおける「30日以上の投薬による処方料減算回数」―などを把握します。

 (2)の「在宅医療の実施状況」については、医療機関ごとの▽在宅医療関係の報酬項目の算定回数▽外来診療と在宅診療の比率―などを調べます。

 また(3)の「訪問歯科診療の評価および実態」では、▽医療機関ごとの訪問歯科診療関係の報酬項目の算定回数▽地域ごとの訪問歯科診療の実施回数―などを調べます。

 (4)の「リハビリテーションの実施状況」に関しては、各種リハビリテーション料の算定件数などを把握することになります。

 さらに(5)「明細書の無料発行の実施状況」については、▽明細書発行体制加算の算定件数▽同加算が算定外の再診件数―を調べます。

 なお15年度には「胃瘻の造設状況」も調べることになっており、▽胃瘻造設時嚥下機能評価加算▽摂食機能療法▽胃瘻抜去―の算定件数を電子レセプト情報から把握します。

 今後もNDBのデータを診療報酬改定に活用する場面が増えていくことが予想されます。

エダラボン製剤を「処方せん交付可能や注射薬」に追加

 この日の中医協総会では、「エダラボン製剤」(販売名:ラジカット注30ミリグラム、ラジカット点滴静注バッグ30ミリグラム)を、処方せんを交付できる注射薬に追加することも決まりました。

 インスリン製剤などについては、「療養上必要な事項について適切な注意・指導を行った上で、保険医が投薬できる注射薬」(処方せんを交付できる注射薬)に定められています。

 エダラボン制裁は、脳梗塞の急性期における機能改善などに用いられていますが、「筋委縮性側索硬化症(ALS)の機能障害の進行抑制」に有効であるため、6月中に効能・効果の追加が行われる見通しです。

 このため厚労省は「ALS患者の中には、外来に通院して同製剤の投与を受け続けることが困難な人もいる」として、同製剤を「処方せんを交付できる注射薬」に加えてはどうかと提案したものです。

 中医協総会でもこの提案が了承され、7月1日から適用される予定です。

新会長に田辺国昭・東大教授が就任

 ところで、これまで中医協の会長を務めてきた森田朗氏(国立社会保障・人口問題研究所長)が任期満了で退任し、新たに田辺国昭氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)が会長に就任しました。

 森田前会長は退任あいさつの中で、▽費用対効果評価▽保険外併用療養▽薬価制度(特に後発医薬品の使用促進)―が今後の診療報酬改定で大きな課題になるのではないかと分析。さらに「データに基づいた議論が重要で、今後、医療にもマイナンバーを導入し、医療の質の向上や、適正な財源配分などの最適解を見出すべきである」との考えも示しました。

 なお、この森田前会長の発言に対し、中川俊男委員(日本医師会副会長)は「踏み込みすぎではないか」と指摘しましたが、厚労省保険局医療課の宮嵜雅則課長は「退任の挨拶であり問題ない」と収めています。

【関連記事】

薬剤服用歴管理指導料、「服用歴」記載なし薬局が1220―中医協総会
機能強化型訪問看護ST、常勤看護師が増加、小児利用者へのサービス提供も充実―14年度改定結果検証調査

診療報酬改定セミナー2024