医療機関の保有する医薬品を担保にした金融手法、法に抵触せず―経産省
2015.6.29.(月)
医療機関が保有している医薬品に譲渡担保を設定し、医療機関が破綻した場合に担保権を実行して債権を回収する行為は、医薬品医療機器法に違反しない―。経済産業省は25日、グレーゾーン解消制度に基づき、こうした見解を公表しました。
医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第24条には、「薬局開設者または医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、または販売もしくは授与の目的で貯蔵し、もしくは陳列してはならない」と規定されています。医薬品には、生命・健康を脅かす恐れがあるため、適正な取り扱いを求める必要があるからです。
ところで、医療機関が資金を確保する方法の1つとして「保有する医薬品などに譲渡担保を設定する」ことが考えられます。
金融機関が医薬品を担保に資金を貸し付け、返済できない場合には、その医薬品を医薬品販売業者に売却するなどして資金を回収するというものです。医薬品は医療現場で使用しなければならないので、担保物である医薬品を債権者に預ける「質権」の設定は非現実的です。また、医薬品は不動産ではないので「抵当権」の設定もできません。
そのため、医療現場に医薬品をとどめ置き、流出入を認めながら、その医療機関の医薬品全体に担保権を設定する譲渡担保の活用が現実的なのです。
しかし、「担保権を設定する」「返済できない場合に販売し、債権者が医薬品の感価代金相当額を受療する」という行為が、前述の医薬品医療機器法第24条に抵触しないかどうかが問題になります。経産省は今回、「金融機関による譲渡担保権の実行に伴う医療機関から医薬品販売業者への医薬品の販売・授与は、『業として行われるものではない』ことから、医薬品医療機器法第24条に該当しない」ことを明確にしました。
経産省では、「医療機関が、ABL(企業の保有する在庫などを担保とする金融手法)によって資金調達を行うことが可能で、経営安定化に寄与する」と期待しています。
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