体重入力の誤りで抗がん剤の過量投与が発生、患者の体重を測定して正しい処方を―日本医療機能評価機構
2015.7.15.(水)
抗がん剤の処方に当たって、患者の体重を誤って入力したために過量投与になってしまった―。このような事例が2011年以降に4件報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました。機構では「レジメンオーダー時に体重を測定」するなどし、正しい値で処方を行うよう注意喚起しています。
レジメンオーダーシステムでは入力誤りに注意を
これは、機構が毎月発表している「医療安全情報」のNo.104で公表されたものです。
電子カルテのレジメンオーダーシステムを用いて抗がん剤(腫瘍用薬)を処方する場合には、患者の身長・体重を入力すると体表面積が計算され、薬剤量が自動的に算出されます。
しかし、あるケースでは、患者の体重が測定されていなかったため医師が仮に「99キログラム」と入力し、その後変更するつもりでエルプラット点滴静注液を処方しました。投与当日に医師は体重を「43.1キログラム」と修正しましたが、薬剤部ではすでに調剤が終了してしまっており、体重の修正を行う前の量も薬剤が投与されてしまいました。
また別のケースでは、医師が1歳の患者にオンコビン注射用の処方を行うに当たり、同一疾患・同一プロトコルで治療中の別の3歳の患者の電子カルテを参照しました。その際、誤って3歳の患者の身長と体重で算出した薬剤量を、1歳の患者に処方し、投与してしまいました。時間外の処方であったため薬剤部では体重チェックを行っていませんでした。
このほか、▽苗字が同じ別の患者の体重を入力し、誤った薬剤量を処方した▽数字を誤って入力した―事例も報告されています。
抗がん剤の過量投与は深刻な副反応にも結び付く可能性があり、「レジメンオーダー時に、実際に患者の体重を測定して、正しい値で処方を行う」ことなどが必要です。
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