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小児用の体外設置式補助人工心臓、8月1日から保険適用―中医協総会

2015.7.22.(水)

 小児用の体外設置式補助人工心臓システムが8月1日から保険適用されます。緊急性・必要性の高さから、極めて短期間に薬事承認が行われ、あわせて保険適用の時期も通常より早められました。

緊急性・必要性が高く、早期の薬事承認・保険適用

 これまでわが国には小児用の体外設置式補助人工心臓システムはありませんでした。このため、重症心不全を患う小児には、心臓移植までの間、成人用の補助人工心臓が使われてきました。しかし、患児への負担が大きく、かつ血栓形成やこれに伴う脳梗塞などの合併症にリスクが高まるため、小児用の補助人工心臓の開発が急がれていました。

 このように小児用の補助人工心臓の開発は緊急性・必要性が極めて高いと考えられることから、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会が優先的に審査を行い、通常の半分近い7か月で薬事承認を行いました(今年6月18日に承認)。

 22日に開かれた中央社会保険医療協議会総会でも、こうした状況が説明され迅速な保険適用を承認しています。通常であれば10月1日からに保険適用となるところ、特例的に8月1日から保険適用とすることも認められました。中医協総会では、今後、同様の取り扱いが行われた製品にどのように対応すべきか、保険医療材料専門部会で議論することとしています。

7月22日に開催された、「第301回 中央社会保険医療協議会 総会」

7月22日に開催された、「第301回 中央社会保険医療協議会 総会」

 今回、保険適用が認められたのは、「EXCOR Pediatric小児用体外設置式補助人工システム」(カルディオ社)で、次のようなパーツで構成されます。患児の疾患に応じて、これらのパーツを組み合わせ、血液循環を改善させます。

▽Ikus補助人工心臓駆動装置(技術用で評価し、保険償還価格は設定しない)

▽血液ポンプ(保険償還価格517万円)

▽心尖部脱血用カニューレ(同76万4000円)

▽心房脱血用カニューレ(同70万8000円)

▽動脈送血用カニューレ(同71万2000円)

▽アクセサリーセット(P-Uバルブ)(同34万2000円)

▽ドライビングチューブ(同8万2000円)

▽カニューレコネクティングセット(同15万2000円)

▽カニューレエクステンションセット(同15万2000円)

「EXCOR Pediatric小児用体外設置式補助人工システム」(カルディオ社)の概要

「EXCOR Pediatric小児用体外設置式補助人工システム」(カルディオ社)の概要

 駆動装置については、使い切りではなく多くの患児に用いるため、脳波計などと同様に「個別の保険償還価格は設定せず、技術料で評価する」ことになっています。2016年度の次期診療報酬改定までは「K603補助人工心臓」の点数(初日は5万4370点、2-30日は1日当たり5000点、31日以降は1日当たり4000点)が準用されますが、2016年4月の次期診療報酬改定において新たな手術料が創設される見込みです。

 この機器の使用にあたっては、▽心臓血管外科専門医認定修練基幹施設で、18歳未満の心臓手術50例を含む、心臓血管手術年間症例が100例以上ある▽常勤の心臓血管外科医が3名以上配置され、うち2名以上は心臓血管外科経験5年以上である▽11歳未満の機械的循環補助を最近5年間で3例以上経験している▽所定の研修を修了した医療チームがある▽心臓移植実施認定施設または、心臓移植実施認定施設と密接に連携をとれる施設である―などの基準を満たすよう「補助人工心臓治療関連学会協議会」が求めており、現在の治験段階では3医療機関で9台が稼働しています。厚労省は年間患児数を25人と見込んでいます。

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