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退院時転帰の「治癒・軽快」、「予期せぬ再入院」など定義見直しへ―DPC評価分科会

2015.7.27.(月)

 DPCの様式1に記載する退院時転帰の「治癒・軽快」や、「予期せぬ再入院」の定義は臨床現場の感覚にマッチしていないので、定義を見直すべきである―。このような方向が、27日に開かれた診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会で固まりつつあります。

 2016年度の次期診療報酬改定もにらんで、様式1の内容が見直される可能性が高くなってきました。

 また次期改定に向け、9月中にDPC準備病院とDPC対象病院の申請を受け付ける案もまとまりました。中央社会保険医療協議会の了承を経て、決定となります。

7月27日に開催された、「平成27年度 第3回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

7月27日に開催された、「平成27年度 第3回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

DPCの「治癒」「軽快」は臨床感覚にマッチしていない

 包括支払い制度で懸念される粗診粗療を是正するため、DPC制度では「退院患者の状況はどうであったのか」「治療が不十分なままに退院して、再入院が増加していないか」などを調査(退院患者調査)し、その結果を基に評価を行っています。

 13年度の「退院患者調査」結果からは、▽「治癒」による退院が減少している▽予期しない再入院が増加している-ことが分かりました。この点について、DPC評価分科会では「『治癒』は退院後の外来治療が一切ない状態と定義されており、何らかの外来通院の可能性があれば現場の医師は『治癒』とせず、『軽快』とする。『治癒』と『軽快』を合わせたものを1つのアウトカム指標としてモニタリングすることが妥当」との見解を示していました。

 しかし、中央社会保険医療協議会からは「『治癒』と『軽快』は独立した指標と考えるべきである」「『予期しない再入院』の増加は、平均在院日数の短縮が限界に来ていることの現れではないか」といった指摘があり、DPC分科会であらためて検討。しかし不明な部分も多かったため、27日に次の病院からヒアリング調査を実施しました。

●「治癒」に関して

▽13年度の治癒割合が高い医療法人鉄蕉会亀田総合病院

▽13年度の治癒割合が低い独立行政法人労働者健康福祉機構大阪労災病院

▽12年度から13年度にかけて治癒割合の上昇率が大きい本荘第一病院

▽12年度から13年度にかけて治癒割合の減少率が大きい独立行政法人地域医療機能推進機構滋賀病院

●「予期せぬ再入院」に関して

▽13年度の「予期せぬ再入院」割合が高い高陽ニュータウン病院

▽13年度の「予期せぬ再入院」割合が低い公益財団法人がん研究会有明病院

▽12年度から13年度にかけて「予期せぬ再入院」割合の上昇率が大きい国家公務員共済組合連合会新小倉病院

▽12年度から13年度にかけて「予期せぬ再入院」割合の減少率が大きい独立行政法人地域医療機能推進機構久留米総合病院

▽13年度に分類不能コードの割合が高い社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷佐倉市民病院

 ヒアリングの結果、「治癒」の割合の高さは、▽院内に治癒の定義(外来に一度も来ない)を十分に浸透していない▽病院独自の「治癒基準」を運用している―ことなどに起因していることが分かってきました。

 亀田総合病院からは「例えばがん治療後の外来受診は経過観察で治療をしていないため、担当医師は治癒に該当すると考えていた。また心筋梗塞治療後に、外来で予防のためにバイアスピリンを処方することがあるが、これも一連の治療とは離れるもので治癒と考えていた。今回の調査で初めて当院の治癒率が高いことに気付いた。治癒と軽快をまとめるべきではないか」といった意見が出されています。

 このように「治癒」「軽快」の定義が臨床現場の感覚とマッチしていないという意見が数多く出されたため、委員からも定義の見直しを行うべきとの見解が示されています。井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)は「治癒・軽快などの退院時転帰を定義に沿って記載するのは出来高にはないルールで、医師にも理解しにくい。臨床現場の感覚にマッチするように治癒と軽快はまとめるべきであろう」と指摘。池田俊也委員(国際医療福祉大学大学院教授)も「治癒と軽快を分けて評価する国はほとんどない」と述べ、統合に向けて専門研究班(いわゆる伏見研究班)で検討する考えを述べています。

 また、中医協総会から指摘された「平均在院日数の無理な短縮で、治療半ばでの退院が増えているため、治癒が減少しているのではないか」との指摘に対しては、出席病院のすべてが「そのようなことはない」と断言しています。

諸外国と比較可能なアウトカム評価指標を検討

 一方、「予期せぬ再入院」についても、出席者からは「様式1に記載する担当者が誤解していた」「高齢患者が増えた」などのために割合が高くなっていることが説明されました。

 またアンケート調査からは「診療録の記載内容から、患者・家族に再入院の可能性の説明があったかが読み取りにくい」などのために「予期せぬ再入院」が増加していることや、逆に「医師によるインフォームド・コンセントが充実し、そのために再入院の可能性を患者が理解し、『予期せぬ再入院』が減少している」ことも分かりました。

 ところで「予期せぬ」かどうかは、現在、患者・家族が再入院を予期していたかどうかで判断されます。すると、医師は説明したが患者が十分に理解していなかった場合には、「予期せぬ再入院」に該当してしまいます。

 こうした状況について、委員からは、アウトカム指標として「予期せぬ再入院」が妥当なのだろうかという疑問の声も出ています。池田委員は、「諸外国では再入院をアウトカム指標としているところもあるが、その場合には『計画された再入院』を対象としたり、がん患者を除く(再入院割合が高い)などしている。国際比較を可能とするために、諸外国の指標と合わせるべきではないか」と指摘。

 また井原委員は「再入院の件数・割合そのものをアウトカム指標とすべきではないか。中身を細分化するとまた課題が生じてしまう」と述べましたが、伏見清秀委員(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境社会医歯学講座医療政策情報分野教授)は「再入院を一括に扱うのは少し危険だ。医療の質を測定するためにどのような指標が好ましいのか、改めて議論する必要がある」と慎重な姿勢です。

 厚生労働省保険局医療課の担当者は、「ヒアリング結果を踏まえて再度議論し、DPC分科会としての見解をまとめてもらう」との考えを示しています。その後、中医協の了承を得た後、次期改定を睨んで様式1の見直しなどを行う予定です。

藤森委員、再入院ルール(7日ルール)の見直しを要望

 ところで、DPCには「7日以内に上2桁が同じコードで入院した場合には一連の入院と見直す」という再入院ルール(7日ルール)がありますが、入院の契機になった病名が分類不能コードの場合には一連の入院とは扱われません(新入院として高いDPC点数を算定できる)。今回、ヒアリングに出席した聖隷佐倉市民病院はこの分類不能コードの割合が著しく高いのですが、その理由を「担当者が入院指示書に記載された病名を用いてコーディングしたため分類不能コードの割合が多かった」とし、「今は改善している」と説明しました。

 この点に関連して藤森研司委員((東北大学大学院医学系研究科・医学部医療管理学分野教授)は、「分類不能コードも一連の入院として取り扱うよう、再入院ルールを見直すべき」と指摘しています。

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