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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

厚労省・武田審議官「診療報酬は病棟単位に設定」-全日病学会シンポ

2014.9.22.(月)

 厚生労働省の武田俊彦・大臣官房審議官(医療保険担当)は20日、全日本病院学会の医療提供体制の再編をテーマにしたシンポジウムの中で、この10月から運用が始まる「病床機能報告制度」に関連して、「診療報酬も基本的には病棟単位で設定する形になる」との見方を示しました。医療再編に伴って高度急性期をカバーするようになる病院と、急性期の病院との線引きをめぐるやり取りの中での発言です。

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 武田審議官は、診療報酬を病棟ごとに設定する場合のイメージや、こうした形に見直す時期については明言しませんでした。入院患者を受け入れた場合に病院が算定する「一般病棟入院基本料」などは現在、看護配置の状況などに応じて病院単位で算定を届け出る形です。

 シンポジウムは「病床機能報告制度から病院の明日を考える」がテーマで、武田審議官は冒頭、「今日のテーマは直接には担当していないが、これまで(社会保障と税の)一体改革を担当し、今は医療・介護連携ということで(省内の)3局が共に動いている。そういう立場でお話しする」と断りました。

地域の医療機能、誰がどう線引き?

 病床機能報告制度は、本格的な高齢社会の到来に伴う医療ニーズの変化に対応できるようにするため、それぞれの地域の医療機能を、将来的に高度急性期、急性期、回復期、慢性期ごとのニーズに応じて再編するのが狙いです。ただ、それぞれの機能の病院を線引きするための詳しい基準は明確になっておらず、シンポジウムでは、こうした点を誰がどう判断するのかに議論が集中しました。

 司会を務めた全日本病院協会の神野正博副会長が「(地域ごとの医療機能の必要量を)参酌標準的な数字でジャッジするのか」と質問すると、武田審議官は「これからの検討次第だが、それぞれの地域で、現在はこうで将来的な医療ニーズがどれくらいなのかを試算して、ギャップがあればどうするかを地域で考えていただく」と答えました。また、制度の創設によって「病院経営が倒れるようでは、地域医療は守れないということを忘れてはいけないと思う」とも話し、理解を求めました。

 シンポジストの星北斗・公益財団法人星総合病院理事長は、「厚生労働省は余計なことは言わないという響きに聞こえた。制度のつくりとしてはそうだとしても、実際に誰かが決めないといけないなら、標準的な考え方を示すことになるはずだ」と危機感を表明しました。慶応大学の池上直己教授は、「ジャッジの基準である病床機能区分の定義が実質的になく、ジャッジのしようがないと思う」と述べました。

軽度急性期にはどこで対応?

 誤嚥性肺炎など軽度な急性期患者にどの医療機能で対応するのかも焦点になり、武田審議官は「基本的には、軽度急性期を含めて急性期だと考えていただくのが素直な読み方だと思う」「高齢者施設からの受け入れがすべて高度急性期に運び込まれると日本の医療は到底持たない」などと話しました。

 全日病の猪口雄二副会長は、「地域包括ケア病棟入院料と入院医療管理料の定義では、在宅での急性増悪に対応すると書かれているのに、今の話だとこれは急性期ということになる」と疑問を投げ掛けました。また、こうした患者に地域包括ケアの病棟や病床で対応するなら、それに見合うだけの十分な診療報酬を付けるべきだと訴えました。

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