大腸がん治療薬のパニツムマブ、中毒性表皮壊死融解症の重大な副作用―厚労省
2015.8.12.(水)
厚生労働省は6日、進行・再発の大腸がんを対象とした分子標的薬である「パニツムマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ベクティビックス点滴静注100ミリグラム)に中毒性表皮壊死融解症の重大な副作用があることが分かったため、医療機関などに注意を呼び掛けています。
また、インフルエンザ治療薬の「ザナミビル水和物」(販売名:リレンザ5ミリグラム)、「ラニナミビルオクタン酸エステル水和物」(販売名:イナビル吸入粉末剤20ミリグラム)を、「乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者」に使用した場合、アナフィラキシーが発生する可能性のあることも分かりました。
メーカーに対しては、使用上の注意に追記するよう要請しました。
7つの医薬品と、新たな「重大な副作用」は次の通りです。
(1)抗アレルギー性緩和精神安定剤の「ヒドロキシジン塩酸塩」(販売名:アタラックス錠10ミリグラム、同25ミリグラムほか)、「ヒドロキシジンパモ酸塩」(販売名:アタラックス-Pカプセル25ミリグラム、同50ミリグラムほか)
▽新たな【重大な副作用】:QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)
(2)アルツハイマー型認知症治療薬の「メマンチン塩酸塩」(販売名:メマリー錠5ミリグラム、同10ミリグラムほか)
▽新たな【重大な副作用】:横紋筋融解症
(3)解毒や、輸血による慢性鉄過剰症治療に用いる「デフェラシロクス」(販売名:エクジェイド懸濁用錠125ミリグラム、同500ミリグラムほか)
▽新たな【重大な副作用】:消化管穿孔
(4)悪性胸水の再貯留抑制に用いる「滅菌調整タルク」(販売名:ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4グラム)
▽新たな【重大な副作用】:間質性肺疾患(間質性肺疾患が疑われた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与などの適切な処置を行う)
(5)進行・再発の大腸がんを対象とした分子標的薬である「パニツムマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ベクティビックス点滴静注100ミリグラム)
▽新たな【重大な副作用】:中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
(6)多発性骨髄腫治療薬の「ポマリドミド」(販売名:ポマリストカプセル1ミリグラム、同2ミリグラムほか)
▽新たな【重大な副作用】:肝機能障害、黄疸
(7)インフルエンザ治療薬の「ザナミビル水和物」(販売名:リレンザ5ミリグラム)、「ラニナミビルオクタン酸エステル水和物」(販売名:イナビル吸入粉末剤20ミリグラム)
▽新たな【重大な副作用】:アナフィラキシー(本剤では、夾雑物として乳タンパクを含む乳糖水和物を使用しており、「乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者」に投与した際にアナフィラキシーが表れたとの報告がある)
厚労省は日本製薬団体連合会を通じて、各メーカーに添付文書の「使用上の注意」を速やかに改訂するよう求めています。医療現場では、これらの医薬品を使用する場合には観察や検査を十分に行い、患者の状態に異常があれば使用の中止や減量を行うとともに、適切な治療・処置を行うことが必要です。
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