【コンサルに聞く】これは知っておきたい、伝えたいことが伝わるスライド6つの条件
2015.8.14.(金)
時間をかけて一生懸命に作成した資料なのに、伝えたいことが伝わらず、「分かりづらい…」と言われてしまった―。病院の経営企画に携わる人であれば、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。今回は、GHCアソシエイトマネジャーの湯原淳平に伝わるスライドの条件を聞きました。
時間をかけてデータ分析などをし、実際に資料を作成していくと、頭の中にある複数のメッセージを「あれもこれも」と1つのスライドに詰め込みたくなりますよね。ただ、それが示唆に富むメッセージであるほど、初めてそれを知る人にとっては、一度に複数のメッセージを理解することは難しいものです。
自分が知っている、分かっていることを、プレゼンする相手も知っている、分かっているという前提で考えると、思わぬ落とし穴に陥ります。1つ1つのスライドを丁寧に、「誰でも理解できるくらいに分かりやすいか」を意識して作成することが必要です。プレゼン相手が「取り残された…」と少しでも感じてしまうと、せっかくの資料もそこから先は見てくれないことがほとんどです。
資料を作成し、それを誰かに見せるということは、最終的に持って行きたい提案が必ずあるはず。資料の作成に着手する段階からそれが明確でなければ、論点が散漫になってしまい、最終的な提案を見失ってしまったり、せっかくの提案に唐突感を与えてしまったりします。
最終的な提案が明確なら、次に重要なことはメリハリのあるストーリーを描くことです。聞き手の立場に立って、意識をしっかりと誘導し、ゴールまでたどり着けなければ、せっかくの提案を伝えることはできません。描いたストーリーに聞き手の意識を誘導できるだけのメリハリがあるかどうかを、常に意識しましょう。
メリハリのあるストーリーの中に、思わず誰かに伝えたくなるようなエピソードやデータが含まれていれば理想的です。例えば、「この統計データ、医療界で知っている人はかなり少ないのですが、実は重要」などと、耳寄りな情報だと思ってもらえると、プレゼン相手の記憶により強く残り、プレゼン相手はそれをほかの誰かにも伝えたくなり、情報の波及効果も高まります。
そして最も重要なのが、その資料に関わるすべての人が楽しめるように意識することです。「人にやらされている」「分析作業が大変」などと感じながら作る資料には、その気持ちが投影されがちです。資料を見る側にも、自然とそのことは伝わってしまいます。どうせ苦労して作るなら、「どうすればもっと分かりやすくなるか」「どういうストーリーなら最後まで面白く見てもらえるか」などを常に意識し、自らが楽しみ、「分かりやすい資料を作ってくれてありがとう」とプレゼン相手が喜ぶ姿を思い浮かべながら作業しましょう。
東洋経済オンラインの記事にも具体的なテクニックが分かりやすく書かれています。
◆ダメ資料が1秒で改善する「スゴ技」ベスト5(2015年8月5日掲載「東洋経済オンライン」)
まずは、いろいろと試してみることが上達への第一歩です。実践を積む中で大事なのは、どのような資料を基に議論がどう盛り上がったかを次に生かすこと。まずは優れた資料を真似してみて、自分なりのスタイルを少しずつ作り上げていきましょう。
分析のための分析に時間をかけて、結果としてスピーディーな問題解決につなげられないとしたら、何のための資料作りなのか分かりません。こうしたことを避けるため、資料を作る目的を明確にすることに時間をかけて、必要最低限のものをまず目指すとよいと思います。また、同じような分析を繰り返さずに、広く活用できるデータを蓄積するよう、知識と経験を積み重ねていくことで、正確で迅速な資料作りを実現できるようになります。