DPCの再入院7日ルールとDICの症例詳記添付、次期改定でも継続へ―DPC評価分科会
2015.8.31.(月)
2014年度の前回診療報酬改定でDPCに導入された、「再入院7日ルール」と「DIC(播種性血管内凝固症候群)でコーディングする際の症状詳記の添付ルール」について、16年度の次回改定でも維持される方向です。
31日に開催された診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会には、2つのルールを導入した結果が厚生労働省から報告され、請求内容の適正化などの効果が分かったためです。
14年度改定前にも再入院に関するルールは存在し、「3日以内の再入院でDPCの上6桁が同一の場合」には、入院期間が通算されていました(再入院3日ルール)。これは、再入院によって入院期間をリセットし、再び高い入院期間Iの点数を算定する不適切事例を是正するためのものです。
しかし再入院3日ルールによっても、4日目以降に再入院件数が大幅に増加するなど、不適切と思われる事例が少なくありませんでした。
このため14年度改定で、「7日以内の再入院でDPCの上2桁が同一の場合には、一連の入院と扱う」(再入院7日ルール)と見直したところ、先の弊害は減り、また「8日目以降に再入院件数が大幅に増加する」などの弊害は生じていないことが分かりました。
また、再入院7日ルールにおいては、「化学療法目的の計画的再入院の場合には一連の入院とは扱わない」とされており、日数による再入院症例のばらつきも是正されています。
一方、DICについてはいわゆるアップコーディングを行っているケースがあるのではないかとの指摘がありました。アップコーディングとは、不適切により高い診療報酬が設定されているDPCコードで請求することを指します。
10年から13年にかけてDICでコーディングされた症例を見ると、件数が大きく増加する一方で、1日当たりの平均医療資源投入量が下がっています。ここから、「実際にはDICに対する治療を行っておらず、医療資源投入量の少ない症例を、不適切にDICでコーディングしている」ケースが存在することが考えられます。
このため14年度改定では「DICでコーディングする際には、症状詳記を添付する」ルールが設けられました。具体的には、▽DICの原因と考えられる基礎疾患▽厚労省DIC基準によるDICスコアまたは急性期DIC診断基準によるDICスコア▽入院期間中に実施された治療内容と検査値などの推移―を添付しなければなりません。
厚労省の調査では、このルール設定によってDICでコーディングされた症例数は13年度よりも減少し、かつ1日当たりの平均医療資源投入量が増加。さらに、全入院件数から見たDICの症例割合も減少していることが分かりました。分科会ではこれを「適正化」と判断しています。
こうした状況を受け、この日の分科会では「再入院7日ルール」と「DICでコーディングする際の症状詳記添付ルール」を継続する方向で意見がまとまっています。
もっとも現行ルールを「そのまま」継続することまでは決まっておらず、ルールの細部については、今後、改善される可能性があります。なお、2つのルールに関連し、次のような点も固まっています。
▽DICと同様のアップコーディング事例がほかにもないか引き続き検討する
▽再入院の入院契機傷病名に「詳細不明コード」を用いた場合には、常に一連の入院と見直すこととする
後者は、「尿閉」や「その他の慢性疼痛」などのいわゆる「詳細不明コード」について、現在、再入院がやむを得ないものとして7日ルールの対象外となっている点を不適切に用いた再入院が増加している可能性があることから、小山信彌分科会長(東邦大学医学部特任教授)は「次期改定での見直し」を求めていたものです。
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