夜勤72時間ルール、入院基本料の施設基準通則で堅持せよ―日看協が緊急宣言
2015.9.3.(木)
診療報酬における「看護職員の月平均夜勤72時間要件」を堅持せよ―。このような緊急宣言が、1日に開かれた「日本看護サミット2015」で行われました。
このサミットは日本看護協会が主催したもので、日看協が重点政策に掲げている「看護労働」についてさまざまな角度から議論。最後に、診療報酬における「看護職員の月平均夜勤72時間要件」の堅持を求める緊急宣言が行われました。
現在、病院の入院基本料を算定するための施設基準では、通則に「夜勤を行う看護職員の1人当たりの月平均夜勤時間数が72時間以下であること」が定められています。これは看護職員の適切な労働環境を維持するためのものです。
かつては、この基準を満たせない場合には入院基本料などを算定できず、点数の低い特別入院基本料(1日につき584点)を算定することになりました。
しかし、病院経営者からは「看護職員、特に夜勤を行ってくれる看護職員の確保が難しい」という悲鳴が相次ぎ、現在は一般病棟や療養病棟について「この基準のみを満たせない場合は、入院基本料を80%に減額する」という救済措置が設定されています。
もっとも、診療報酬改定の議論を行う中央社会保険医療協議会では、診療側の委員から「看護職員の労働環境向上のために夜勤72時間ルールも重要だが、施設基準にはなじまないのではないか。施設基準以外の別の要素として組み込むべきではないか」という意見も出ています。例えば、施設基準から夜勤72時間ルールを除外するとともに、「夜勤72時間ルールを守った場合には加算を設ける」ことを提案する委員もいます。ただし、この場合に入院基本料の点数をどうするのか(除外した分引き下げるのか)は明らかにしていません。
こうした状況を受け日看協は、「夜勤72時間ルールを2016年度の診療報酬改定で撤廃・緩和しようとする動きに危惧を抱いている」ことを表明。
また夜勤72時間ルールが入院基本料の施設基準の通則から外れると、「看護職員の負担が増大する」→「離職者が増える」→「病院は看護職員を確保できなくなる」→「看護職員の負担がますます増大する」という悪循環に陥り、医療安全の面でも問題が生じることを強く訴えました。
さらに、「夜勤労働に関する労働法制が未整備」な現状では、診療報酬の夜勤72時間ルールのみが「看護職員の健康と安全を守る生命線」であることを強調し、「入院基本料の通則で夜勤72時間ルールを堅持すべき」と緊急宣言を行っています。
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