診療報酬の被災地特例を来年3月末まで延長へ―厚労省
2015.9.10.(木)
東日本大震災に被災した医療機関への支援策として、厚生労働省は9日、診療報酬上の特例措置(被災地特例)を今年9月末から来年3月末まで延長することを決めました。現在も被災地特例措置を利用しているのは岩手、宮城、福島各県の21の医療機関で、厚労省によりますと、これらすべてが延長を求めているということです。
中央社会保険医療協議会が同日開いた総会に特例措置の半年間の延長を提案し、了承されました。
被災地特例は、震災の影響で診療報酬や医療法上の基準をクリアできなくなっても診療報酬の減額などを免除したり、保険診療の実施を認めたりする措置です。
入院基本料を算定するには本来、看護スタッフ1人・1か月当たりの夜勤時間を平均72時間以内にする基準をクリアする必要があります。しかし、震災の影響で十分な人手を確保できない場合には、夜勤時間の変動が2割以内ならこのことを厚生局に届け出なくても、震災前の入院基本料の算定が特例として認められています。
このほか、医療法上の定員を超えて入院患者を受け入れても入院基本料や特定入院料を減額しない特例措置などがあります。
被災地特例を利用する医療機関は今年1月から7か所減りましたが、今も21の医療機関が利用しているということです。県別の内訳は岩手4、宮城5、福島12で、中でも福島第一原子力発電所の事故の影響が大きい福島での利用が目立ちます。
原発周辺の医療機関では、看護スタッフなどの人手不足をいまだに解消できないケースもあり、厚労省によりますと、福島では6か所の医療機関が、看護スタッフの月平均夜勤数の基準を緩和する特例措置を利用しているということです。