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小児への薬剤投与、医師は処方せんに「希釈方法」示すなどして過量投与防止を―日本医療機能評価機構

2015.9.15.(火)

 小児に薬剤を投与する際、処方は正しかったが、調剤を間違えて過量投与してしまった―。このような事例が2012年1月以降、5件報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました。

 機構が毎月発表している「医療安全情報」のNo.106で公表されたもので、小児に薬剤を投与する際には、「医師は処方箋のコメント欄に希釈方法を具体的に記載する」「薬剤部では、鑑査時に計算式を確認する」「調整時に、投与量の計算過程を記録し、2名で確認する」ことなどが必要です。

調製時には、投与量の計算過程を記録し、複数チェックを

 薬剤の過量投与は健康被害をもたらし、最悪の場合には患者が死亡に至ることもあります。特に患者が小児の場合には、薬剤への抵抗性が弱いケースも少なくないため投与量を厳密に計算し、正しく調整する必要があります。

 ある医療機関では、0歳の患児に対して「抗菌剤であるバンコマイシン40ミリグラム+生理食塩水5ミリリットルを、1時間あたり5ミリリットル、1日3回投与する」よう医師が処方せんを出しました。

 「バンコマイシン40ミリグラム+生食5ミリリットル」は、「バンコマイシン0.5グラム(500ミリグラム)」を生食5ミリリットルで溶解したもののうちの0.4ミリリットルが該当します。しかし看護師Aが「1グラムは100ミリグラム」と思い込んで暗算し「バンコマイシン0.5グラムを生食5ミリリットルで溶解し、うち4ミリリットル」として調整し(10倍量)、そのまま投与してしまいました。その際、別の看護師Bにその旨を口頭で確認しましたが、看護師Bは自分で計算せずに「そうですね」と答えています。翌日になって患児の血中バンコマイシン濃度の上昇が認められ、調整間違いに気付いたといいます。

 また別の医療機関では、2歳の患児に対して免疫抑制剤であるプログラフ注射液を投与する際に、医師が「生食19.6ミリリットルとプラグラフ注射液2ミリグラム(0.4ミリリットル)を混ぜ、0.1ミリグラム/ミリリットルとし、そのうち1.8ミリリットルを生食と足して合計48ミリリットルとする」と調整方法をコメントしました。「プログラフ0.18ミリグラム/48ミリリットル」を持続静注するためです。

 しかし薬剤師が計算式の中で「0.18ミリグラム」を「1.8ミリグラム」と誤り、医師のコメントとの照合もしなかったため、10倍量を調整し、投与してしまいました。翌日に薬剤部でプログラフを調整した際、前日の調剤間違いに気付いたといいます。

小児への薬剤投与で、勘違いや計算間違いによって過量投与となった事例が5件報告されている

小児への薬剤投与で、勘違いや計算間違いによって過量投与となった事例が5件報告されている

 いずれも重大な健康被害を引き起こしかねない事例です。機構では、小児に薬剤を投与する際のポイントとして次の3点を例示しています。

▽医師は、処方せんのコメント欄に希釈方法を具体的に記載する

▽薬剤部では、鑑査時に計算式を確認する

▽調製時、投与量の計算過程を記録し、2名で確認する

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