かかりつけ医以外の外来受診、新たな定額負担を求めてはどうか―財務省
2015.10.13.(火)
財務省は9日、財政制度等審議会の「財政制度分科会」に、社会保障改革の工程表を提示しました。地域医療構想や病床機能報告制度をベースに「入院医療提供体制の再構築」が進められていますが、外来医療についても機能分化を進めて再構築を図る方針を明確にしています。
また、かかりつけ医以外を受診した場合に、新たな「少額の定額負担」を導入する構想も打ち出しており、財務省は「17年の通常国会に関係法案を提出したい」考えです。
わが国の経済と財政を同時に復活・再建するために、安倍晋三内閣はいわゆる「骨太方針」を打ち立てました。今年(15年)6月には「骨太方針2015」が閣議決定され、そこでは、社会保障分野の検討事項について「20年度までのスケジュール」を策定するよう求められています。
今般、財務省は、社会保障分野の検討事項について、改革の実施状況(フェーズ)に応じて、具体的な改革内容とスケジュール、さらに改革の進展状況をチェックするため重要指標(KPI)を設定しました。
改革の実施状況は、(A)実施段階にある(B)15年度中に行う事項が含まれる(C)16年度予算関連(D)検討・実施の次期を今後検討し、明らかにする―という4段階に区分されています。
「医療・介護提供体制の適正化」に注目すると、(A)段階にあるのは、「地域医療構想の策定などによる病床機能分化・連携の推進」などですが、機能分化を前倒しで進めるために「遅くとも16年10月の次期病床機能報告に使えるように、新たな定量基準を策定する」ことを打ち出しました。
また(B)段階には、「地域医療構想と整合的な医療費適正化計画の策定」や「ヘルスケアポイント付与などの個人に対するインセンティブ付与による適切な受診行動の促進」などがあります。
前者については「16年度末までに全都道府県で適正化計画を策定する」ことをKPIにしてはどうかと提案しています。そこでは▽病床の4機能別の医療費▽後発医薬品の使用促進▽重複・頻回受診/重複投薬の防止―などについて具体的な数値を設定することになりそうです。
また「外来医療費の地域差分析」も(B)段階にあり、財務省は「15年度中に要因分析を実施し、解消策を次期医療費適正化計画に反映させる」という目標を設定しています。具体的には、▽疾病別・年齢別の受療率▽1件当たり日数▽1日当たり点数▽後発品の使用状況▽重複投薬・多剤投与の状況―などをKPIとして設定し、地域差が生じる原因を明らかにした上で、その解消に向けた方策を検討することになります。
入院においては、特に地域差が著しい「療養病床」への入院受療率に焦点が合わせられ、その是正を織り込んだ地域医療構想を策定することが求められています。財務省は「外来医療にもスコープを拡大」していることを明確にしています。
一方、(D)段階には、「医療・介護を通じた居住に係る費用負担の公平化」や「かかりつけ医普及の観点からの診療報酬上の対応・外来時の定額負担」などがあります。
後者については、「かかりつけ医以外を受診した場合に、個人が日常生活で通常負担できる少額の定額負担」を導入することを打ち出しており、財務省は「16年度末までのできるだけ早い時期に結論を得て、17年通常国会に所要の法案を提出する」というスケジュールを描いています。