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「医療×介護×住まい」の新類型を検討、慢性期医療の提供体制を見直し―療養病床検討会

2015.10.14.(水)

 今後、慢性期の医療提供体制においては、(1)要介護度は低いが、一定の医療が必要で、継続した在宅生活が困難な人に対し「医療」と「住まい」を組み合わせて提供する機能(2)要介護度が高く、一定の医療も必要な人の「長期療養」を支える機能(3)一定の医療が必要な人に対してショートステイ利用など「在宅療養」を支援する機能―が考えられるのではないか。こういった提案を、9日の「療養病床の在り方等に関する検討会」で厚生労働省が行いました。

慢性期の医療提供体制、見直しに向けた選択肢を検討

 現在、慢性期医療を提供する場として「医療療養病床」がありますが、一般病床にも一定程度、長期療養患者が入院している実態があります。医療療養病床では、看護師・准看護師を患者4名に対して1名以上、看護補助者を患者4名に対して1名以上配置しなければいけませんが、2018年(平成30年)3月31日までは「6名に対して1名以上の配置でもよい」とする経過措置があります。

 一方、介護保険では、制度発足当初には「施設サービスの充足させる」ことが重要であったために、療養病床を介護保険施設の1類型に規定しました(介護療養型医療施設)。その後、「療養病床はそもそも病院であり、生活の場として好ましいのだろうか」という指摘があり、介護療養から老人保健施設への転換が進められ(転換型老健)、介護療養は18年3月31日までの経過措置として認められています。

 しかし、こうした状況に対して「介護療養の持つ『医療の必要性の高い患者が入所する』という機能は存続させるべきではないか」「医療療養の設置状況や受療率には大きな地域差があり、これを是正していくべきではないか」といった意見が強くなっています。

 また、地域における25年の医療提供体制像を描く地域医療構想の中では、「医療療養に入院する医療区分1の患者の7割について、在宅への移行を目指す」ことが謳われています。

 このため厚労省は、慢性期医療の提供体制を今一度見直す必要があると考え、その選択肢を提示するために「療養病床の在り方等に関する検討会」を設置したのです。

新類型も視野に、医療・介護・住まいの機能を組み合わせ

 9日の会合では、委員から出された意見などを踏まえて、厚労省から次のような選択肢の考え方が提案されました。そこでは、慢性期の医療提供体制では「医療」「介護」に加えて、「住まい」の機能も組み合わせる必要があることが打ち出されています。これは地域包括ケアシステムとも通じる考え方です。

(1)要介護度は低いが、一定程度の医療が必要で、自宅などでの継続的な生活が困難な人のために「医療と住まいを組わせたサービスを提供する」機能

(2)要介護度が高く、一定程度の医療が必要な人に対して「長期療養を支える」機能

(3)一定程度の医療が必要な人のショートステイ利用など「在宅療養を支援する」機能

 厚労省は、これらの機能を実現するために「新しい類型」を含めて制度上の枠組みを検討することも提示しました。

 こうした提案に対して、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「新たな類型を創設するにしても、既存の施設(医療療養、介護療養)を利用できるような施設基準を設定すべき」「新類型だけではなく、マンパワーや費用を考慮した上で、在宅と施設とのベストミックスについても検討する必要がある」との考えを述べています。

 また、田中滋座長代理(慶応義塾大学名誉教授)は「介護の世界では、『住まいと介護の組み合わせ』は特養などがあるが、医療の世界では、『住まいに軽度の医療を組み合わせる』という類型はない。ここを新しい類型として考える必要がある」と指摘しています。

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