電気メス使用時、イソジンなどの消毒剤への引火に注意を―日本医療機能評価機構
2015.10.16.(金)
電気メスを使用した際、エタノールを含む消毒剤に引火してしまった―。このような事例が2009年8月以降、8件報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました。
機構が毎月発表している「医療安全情報」のNo.107で公表されたもので、「消毒剤のボトルに『電気メス使用注意』などのシールを貼り、注意喚起する」「垂れた消毒剤を吸収させたパッドは、覆布をかける前に取り除く」ことなどが必要です。
ある医療機関で開腹手術を行うに当たり、術野を消毒するためにシジングルコン酸塩消毒用液EW0.5%「NP」を用いました。その際、垂れた消毒剤を吸収させるために「イソジン垂れ込み防止用パッド」を貼っており、そのまま覆布をかけ、手術を開始したところ、覆布が焦げ、患者の右側腹部に熱傷が生じてしまいました。
これは、覆布の下のパッドから消毒剤に含まれているエタノールが気化して溜り、電気メスから引火したものと考えられます。
また別の医療機関では、心タンポナーデを行うに当たり、患者の胸部から腹部までイソジンフィールド液で消毒を行いました。心タンポナーデ解除後に自己心拍が再開しなかったため、鼠蹊部を切開するために大腿部にさらにイソジンフィールド液を塗布。直後に電気メスを使用したところ、患者の身体の下に溜まっていた消毒液に引火し、両鼠蹊部から側胸部・腋窩にかけて熱傷が生じてしまいました。
このほかにも、▽0.5%ヘキザックアルコール液▽ステリクロンRエタノール液0.5―など、エタノールを含む消毒剤に電気メスで引火が生じた事例が報告されています。
実際に、熱傷という健康被害が生じており、機構では次のような対策をとるよう医療現場などに強く求めています。
▽引火性のある消毒剤があることを周知徹底する
▽消毒剤のボトルに「火気厳禁(電気メス使用注意)」のシールを貼り、注意喚起する
▽垂れた消毒剤を吸収させたパッドは、覆布をかける前に取り除く