特養ホームやグループホーム、施設整備の増加目標を6万人分上乗せ―塩崎厚労相
2015.11.13.(金)
介護サービスの充実・加速化に向けて、2020年代初頭までの在宅・施設介護サービスの増加目標を現在の「約34万人分増」から「約40万人分増」に、6万人分上乗せする―。11月12日に開かれた「一億総活躍国民会議」で、塩崎恭久厚生労働大臣がこのような計画を発表しました。
安倍内閣は経済と財政の再生に向けた政策「アベノミクス」を進めています。その新たな3本の矢(希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障)では「介護離職ゼロ」が打ち出されました。今後、高齢化が進行し、慢性期医療とともに介護ニーズが増える中で、介護人材の確保が最重要課題となっているためです。
12日の会議では、塩崎厚労相から介護離職ゼロに向けて、次のような取り組みを重点的に行う方針が発表されました。
(1)在宅・施設サービス整備を充実・加速化するために、「2020年までに約34万人分増加させる」という目標を、6万人分上乗せして「2020年代初頭までに約40万人分増加させる」こととする
(2)用地確保が困難な地域において、施設整備への支援を拡充する(定期借地権の一時金の支援拡充など)
(3)都市部において特別養護老人ホームの建物所有要件の緩和や、合築の差異の設備共用を認める
(4)離職した介護・看護職員などの再就職を支援するために「再就職準備金」の貸し付けなどを行う
(5)介護職を目指す学生の増加や定着支援に向けて「修学資金」の貸し付けなどを行う
(6)介護を通じた中高年齢者などの社会参加を促進する
(7)ハローワークにおけるマッチング機能を強化する
(8)介護者の負担軽減を図るために、「介護ロボット」の効果的な活用方法の検討・開発を行うほか、「見守り支援ロボット」などの導入を支援し、さらに介護保険対象の福祉用具の新規導入を更に迅速化する
(9)介護事業所や施設において業務上の書類削減やICTの活用を進め、文書量を半減する
(10)介護休業の分割取得など「介護休業が活用しやすくなるような制度見直し」を行うほか、介護休業を取得した際の給付金の率(現在は賃金月額の40%)を引き上げに向けた取り組みを進める
(11)仕事と介護を両立しやすい職場環境に向けた「支援モデルの普及・展開や、企業への導入支援」を行う
(12)地域包括支援センターや労働局において、家族や事業主に対して介護サービスなどに関する情報提供の実施などを周知強化する
このうち(1)は、▽特養ホーム▽介護老人保健施設▽認知症対応型共同生活介護(グループホーム)▽特定施設(ケアハウス)▽小規模多機能型居宅介護▽看護小規模多機能型居宅介護(旧称、複合型サービス)―の整備を進めるものです。