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世界を見てきた病院経営のプロが語る「日本医療の未来」、マーティー氏インタビュー(上)

2014.10.21.(火)

 1994年に創立されて以来、GHCがさまざまな観点からアドバイスを受けている人物がいます。米国で約50の病院統合のプロジェクトに、世界中の数えきれないほどの病院で経営改革に携わってきた米国の医療コンサルタント、マーティー・マイケル氏です。世界を股にかけてこれまでにどのような活動をしてきたのか、医療経営の魅力とは何か、日本の医療の行く末をどう見ているのか―。緊急来日中のマーティー氏に聞きました。

世界中の病院改革に参画

――これまでのキャリアについて教えて下さい。

 世界中の医療経営に携わってきました。

 ビジネススクール卒業後、米国の大手コンサルティング会社に入社したのをきっかけに、さまざまな病院や医師、製薬会社、保険会社と仕事をしてきました。1980年から20年間、医療経営支援の経験を積み上げ、2000年に独立しました。

GHCが設立以来、さまざまな観点でアドバイスを受けている世界規模での病院経営のプロ、マーティー・マイケル氏

GHCが設立以来、さまざまな観点でアドバイスを受けている世界規模での病院経営のプロ、マーティー・マイケル氏

 ここ14年間、6割は米国で、2割は中東とアフリカ諸国、残り2割はアジア各国で働いてきました。香港とクアラルンプールに1年間ずつ住んでいたこともあります。日本、インドネシア、台湾、タイの病院経営プロジェクトにも参加しました。ほかにも国際プロジェクトでメキシコ、エジプト、ナイジェリア、レバノン、ドバイ、クウェート、サウジアラビア、パキスタンにも住んでいました。もちろん、日本は一番のお気に入りです。

 ほとんどすべてのプロジェクトは医療機関向けですが、政府関係の政策プロジェクトもあります。わずかですが、航空・道路関連など医療以外のプロジェクトにも参加したこともあります。

医療経営という仕事の魅力とは

――医療経営の仕事のやりがいとは何でしょうか?

 「医療経営」と一言で言っても、医療を取り巻く経済環境も医療提供体制の仕組みも世界各国で異なります。その多様性がまず興味深い。その一方で、医療はどの国でも一番大事なインフラなので注目度は高く、医療を支える経営をいかに改善させるかに、やりがいを感じています。

世界各国の医療提供体制は異なる。その多様性が興味深い。一方、医療に対する注目度はどの国でも高く、医療機関の経営改善は大きなやりがい

世界各国の医療提供体制は異なる。その多様性が興味深い。一方、医療に対する注目度はどの国でも高く、医療機関の経営改善は大きなやりがい

 大学の専門もビジネスとエンジニアリングの半々ですし、医療の予備知識は全くなく、経験もありませんでした。それが、コンサルティング会社に入社して初めて担当した病院関係のプロジェクトをきっかけに、優秀な医師やさまざまな病院関係者たちと仕事をする楽しさに魅了されました。実際、わたしは運が良くて世界各国で優秀な人たちと仕事をする機会を得ました。日本でも、とても有名な幾つもの医療機関と一緒に仕事をしてきました。

 思い出に残っているのは、あるプロジェクトで初めて手術室に案内された時のことです。その時わたしは、開胸された人間の心臓が動いているのを目の前で初めて見ました。驚きのあまり、しばらく動けませんでしたが、その時に医師たちの仕事の厳しさとそれに向き合う彼らの姿勢にあらためて感心し、病院関係者やすべての患者たちに貢献するために、医療経営の道を歩んでいきたいと思いました。

――GHCとのかかわりについて教えてください。

 アキに初めて会ったのは、わたしが独立する前、コンサルティング会社に在職していたころです。アキは同僚の友人で、そのつながりをきっかけに、「日本での病院経営コンサルティングの仕事を手伝ってほしい」とアキから誘われて、初めて日本を訪れました。その後、サチコ(GHC社長の渡辺幸子)とも出会い、2人とはGHC設立前からの知り合いで、一緒に仕事をし続けてきたパートナーです。

 2人ともとても優秀で何より巨大なエネルギーを持っていることに感銘を受けました。2人に共通しているのは、日本の医療をより良くするお手伝いをしたいと強く思っていることです(つづく)。

【連載ラインナップ】
(上)◆世界を見てきた病院経営のプロが語る「日本医療の未来」
(下)◆「その変化は正しい」の意識の集積が未来を変える

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