「その変化は正しい」の意識の集積が未来を変える、マーティー氏インタビュー(下)
2014.10.22.(水)
前回のインタビューでは、世界中の数えきれないほどの病院で経営改革に携わってきた米国の医療コンサルタント、マーティー・マイケル氏に、世界を股にかけてこれまでにどのような活動をしてきたのか、医療経営の魅力とは何か、などについてお聞きしました(『世界を見てきた病院経営のプロが語る「日本医療の未来」』をご参照下さい)。今回のインタビューでは、日本の医療の行く末をどう見ているのかを中心にお聞きします。
――日本の医療についてはどのようにお考えですか。
日本の医療関係者、特に医師たちは、米国と同じように「医療を良くしたい」と強く思っていることに感動しています。米国のDRGに倣って包括払いのDPCを導入するなど、日本の医療界にもコストと競争の概念が浸透しつつあります。
ただ、国によって改善や改良のやり方が違います。米国でうまくいった方法が日本の医療界にも有効だとは必ずしも限りません。見習うべき点はそれぞれの国にあると思いますが、それらを実行できるかどうかは別問題です。
また、医師たちも人間なので、基本的にドラスティックな変化を好まない傾向です。さまざまな国に住んできた経験から言うと、国によって改善の仕方がさまざまですし、数ある改善方法の難易度もさまざまです。これは医療に限らずほかの業界でも同じことです。変化を受け入れるのが難しいのは、万国共通です。日本だけに限ったことではなく、医療に限ったことでもありません。
変化が受け入れられるきっかけになるのは、「小さな成果」です。少しずつでもいいので変化し始めて、それが何かしらのポジティブなインパクトをもたらしたら、「その変化は正しい」と思う人が増えてきます。少しずつかもしれませんが、日本の医療に起きている変化を「正しい」ととらえる人たちが増えつつあるのではないでしょうか。そういった意味では、これからの10年間は、日本の医療にとって非常に面白い時期になると思います。
――創立10周年を迎えてGHCは、次の10年に向けて歩み始めました。何かメッセージをお願いします。
先ほども述べましたが、次の10年はGHCにとってとてもエキサイティングな時期になるでしょう。刺激も学べる場もたくさんあり、いろんな可能性も出てくることでしょう。チャレンジの時期と言い換えることもできます。
これからの10年間でGHCがどのような成長を遂げ、どのように大きくなっていくかを見守ることはわたしにとって大きな感心事です。
GHCのメンバーは社会に大きく貢献できる仕事をしていますし、とても優秀な人たちの集まりです。GHCはこれからも日本の医療の改善に取り組むリーダーであり続けると、わたしは信じています。
【連載ラインナップ】
(上)◆世界を見てきた病院経営のプロが語る「日本医療の未来」
(下)◆「その変化は正しい」の意識の集積が未来を変える